カテゴリー「生態・環境」
タイトル:チェルノブイリ原発30㎞立入禁止区域における慢性照射の植物耐性への生物的ストレスへの影響
著者:ドミトリエフA. P., グロドジンスキーD. M., グシチャN. I., クリジャノフスカヤM. S.
典拠:Russian Journal of Plant Physiology、2011年11月、58巻、6号、1062-1068頁。
doi: 10.1134/S1021443711060045
キーワード:コムギ、ライムギ、トウモロコシ、うどんこ病菌、コムギ赤さび病菌、コムギ黒さび病菌、植物免疫性、チェルノブイリ原発立入禁止区域、慢性照射の低線量、プロテイナーゼの植物阻害剤
概要:種子から育てチェルノブイリ立入禁止区域で収穫された小麦(Triticum aestivum L.)三品種 (Mironovskaya 808, Polesskay 70, Kiyanka) のうどんこ病(Erysiphe graminis DC. f. sp. tritici Em. Marchal)、赤さび (Puccinia triticana Erikss. & Henn.) の感染率は、統制群の種から育ったものより1.5-2倍高いことが温室実験によって分かった。チェルノブイリ・ゾーンにおける野外実験において、生物的ストレスに対するコムギの抵抗力は減少していた。赤さびへの人工感染では、バックグラウンド放射線が増加した土地では病気の発症は拡大した。慢性照射の低線量の作用下における減少した植物免疫性のポテンシャルのメカニズムのひとつが、植物プロテイナーゼ阻害剤の活性低下であることが明らかとなった。このように小麦およびライ麦(Secale cereale L., cv. Saratovskaya)の粒においては、統制群と比較してそれらの活性は35-60%に減少していた。穀物の茎さび原因物質群(Puccinia graminis Pers.) の活性型とレースの形成がチェルノブイリ・ゾーンにおいて見られた。ウクライナの他地域におけるよりも毒性の強いクローンの頻度が高いこの菌の”新しい”群が区別された。チェルノブイリ・ゾーンで行われた温室実験と野外実験において個別に得られた諸結果は、病原体植物の相互作用に対する放射線ストレスの影響を表していた。それらによって示されたのは、人為的ストレス状況下における植物およびこれらの病原体双方で発生した小進化プロセスの監視の必要性である。
URL: http://link.springer.com/article/10.1134/S1021443711060045
タイトル:チェルノブイリ事故後の降雨中の放射能
著者:ウィーラーD. A.
典拠:Environmentalist、1987年春、7巻、1号、31-34頁。
doi: 10.1007/BF02277203
キーワード:
概要:降雨が大気中に含まれた物質の地盤面における除去および堆積の媒介物であることは周知のことである。チェルノブイリ後のいろいろな出来事によって、汚染物質の分散、輸送および堆積における大気条件の重要性が改めて示された、植生や食料品の汚染に対しては多大な関心が払われてきたが、汚染された雨水の質については見落とされてきた。本稿では、イギリスとスカンジナビアにおける知見をまとめて報告し、当問題が単純ではなく、容易に理解しがたいことを示す。
URL:http://link.springer.com/article/10.1007/BF02277203
タイトル:ガンマ線分光法による、大気中の核爆発およびチェルノブイリと福島からの放射性物質放出の放射性核種比率の比較
著者:フリーゼJ. I., ケパートR. F., ルーカスD. D.
典拠:Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry、2013年5月、296巻、2号、899-903頁。
DOI: 10.1007/s10967-012-2213-0
キーワード:CTBT、チェルノブイリ、福島、放射性核種監視、ガンマ分光法
概要:包括的核実験禁止条約により、その検証計画の一部として、サイト検査(OSI)に続く遠隔放射性核種監視が疑わしい対象の性質を明らかにするために行われた。サイト上の放射性核種の測定の重要な点としては、類似した放射性核種の、原子炉事故や医療アイソトープ生産といった他の潜在的出所を判別することが挙げられる。チェルノブイリと福島の原子炉事故により、二つの異なる原子炉から、核爆発の歴史的な計測と比肩するほどの環境へのインプットがなされた。これら三つから得られた全てのサンプルのガンマ分光測定による比較、および類似点と相違点の分析を行った。この分析は、包括的核実験禁止条約の後援の下、OSI中の測定のために何が必要とされているかを確定するための一段階といえる。
URL:http://link.springer.com/article/10.1007/s10967-012-2213-0
タイトル:トルコ、イズミルの森林サイトにおける土壌からキノコへの137Cs、40K、アルカリ・アルカリ性土類元素および重金属の移行
著者:カラデニズÖ., ヤプラクG.
典拠:Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry、2011年4月、288巻、1号、261-270頁。
DOI: 10.1007/s10967-010-0908-7
キーワード:土壌からキノコへの移行、137Cs、40K、アルカリ・アルカリ性土類元素、重金属
概要:本研究は、137Cs、40Kの放射性核種、そしてある種の安定元素と重金属の土壌からキノコへの移行パラメータの調査を取り上げたものである。137Csと40Kのトランスファー因子の結果はそれぞれ0.06–3.15、0.67–5.68の範囲で、最も効率的に移行された放射性核種は40Kだった。137CsのTF値は対数正規分布に概して適合した一方、40Kについては正規分布だった。137Csの土壌からキノコへのトランスファー因子と農薬土壌特性の間の統計的に有意な相関が明らかとなった。濃度比は種類によって様々だが、最も効率的に移行する因子はKで、続いてRb, Zn, Cu, Cd, S, Cs and Hgであった。
URL:http://link.springer.com/article/10.1007/s10967-010-0908-7
タイトル:西ヨーロッパのさまざまな地域で生産されたエメンタールタイプチーズにおける90Sr、238U、234U、137Cs、40K、239/240Pu
著者:フロイデヴーP., ギリングJ.-J., ピロネルL., ボセットJ.-O., ヴァレーJ.-F.
典拠:Journal of Environmental Radioactivity、72巻、3号、2004年、287-298頁。
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S0265-931X(03)00179-6
キーワード:ストロンチウム90、チーズ、ウランの同位体、ミルクからチーズへの移行、食品の信頼性
概要:様々な欧州諸国の乳製品工場で集められたエメンタールタイプチーズにおける90Srとウランの測定のためにある方法が提示された。その結果示されたのは、チーズの90Srの内容と放牧高度の間の有意な相関関係 (r=0.708, Student t-test=6.02) であった。チーズにおける最高の90Srの放射能は1.13 Bq kg −1で、最低は0.29 Bq kg −1だった。ウランの放射能は、238U値が最高でも27 mBq kg −1ときわめて低かった。さらに234U/238U比はすべての場所での234Uの多大な濃縮を示していた。チーズの地理的出所に関わる大きな兆候はないが、この濃縮は牧草地、土壌および地下水の地理的特徴に起因すると考えられる。これらの結果が示しているのは、ウランによるミルクの汚染が牛が飼料の代わりに飲む水に主に由来するものだということである。こうした発見は、放射能事故後における乳製品の食品汚染を扱うモデルにおいて大きな重要性を持っていよう。同様に、90Srのコンテンツ、およびより少ない程度であるが234U/238U比は、チーズの出所の信頼性をトレースするのに利用できる。137Csの放射能は集められた全てのサンプル(n=20)において検出限界の0.1 Bq kg −1を下回っていた。チーズにおける天然の40Kの放射能(15–21 Bq kg −1)に基づくと、ミルクからチーズへのアルカリカチオンの除染係数は約20であった。プルトニウムの放射能は 0.3 mBq kg −1の検出限界以下に留まっていた。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X03001796
タイトル:クロアチア、ゴルスキ・コタル郡の山の森林生態系における雑食動物および草食動物のゲーム種内の137Csと40K濃度
著者:シュプレムN., バビッチI., バリシッチD., バリシッチD.
典拠:Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry、2013年10月、298巻、1号、513-517頁。
DOI: 10.1007/s10967-013-2475-1
キーワード:ゲーム肉、137Cs、40K、雑食動物、草食動物、山の森林生態系
概要:本研究の目的は、チェルノブイリ事故から約4分の1世紀後のクロアチアのゴルスキ・コタル郡の山の森林における大型哺乳動物のゲーム種内の137Csと40Kの負荷を調査することである。137Csと40Kの放射能が5大ゲーム種(ヒグマ(Ursus arctos)、イノシシ (Sus scrofa)、ノロジカ(Capreolus capreolus)、アカシカ (Cervus elaphus)、およびシャモア(Rupicapra rupicapra))の49の肉サンプルにおいてガンマ分光法によって測定された。その結果、草食動物のゲーム種(ノロジカ、アカシカ、シャモア)は雑食動物の種(ヒグマ、イノシシ)よりも有意に低い137Cs濃度を示し、これによって異なる栄養戦略が肉におけるセシウム濃度に反映するという仮説が確認された。ヒグマの肉において測定されたセシウム負荷は二桁の範囲内だったが、イノシシの肉におけるセシウム負荷は一桁の範囲内であることが分かった。見積もられた効果的な等価線量によって、セシウムの最高線量の摂取が雑食動物種の肉の消費によるものであり、草食動物種由来の肉の消費いよってはより低い線量が摂取されることが示された。
URL:http://link.springer.com/article/10.1007/s10967-013-2475-1
タイトル:ミルクと市販の乳製品におけるストロンチウム90の研究
著者:クルックM., ソレッキJ.
典拠:Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry、2011年11月、290巻、2号、325-332頁。
DOI: 10.1007/s10967-011-1395-1
キーワード:90Sr、ミルク、乳製品、加重実効線量
概要:本論の目的は、マゾフシェ県、クヤヴィ=ポモージェ県およびルブリン県におけるいくつかの業務用乳製品の放射線レベル調査の結果を提示することである。リーンカッテージチーズ2品、脂肪分カットのカッテージチーズ3品、脂肪入りカッテージチーズの3品、脂肪分3.2%のミルク3品、脂肪分2.0%のミルク3品、脂肪分12%のサワークリーム2品、脂肪分18%のサワークリーム3品、脂肪分30パーセントのホイップクリーム1品、ホモジナイズ(イチゴとバニラ)チーズ2品、ハードレンネットチーズ3品、粉ミルク1品、ヤギのミルク1品の27の業務用乳製品に対して調査が行われた。これらの業務用乳製品について、各年齢層が汚染された商品を1キロ消費した後に得られる実効線量 (μSv) を算出した。
URL:http://link.springer.com/article/10.1007/s10967-011-1395-1
タイトル:バルト海の底堆積物へのPuとAmの吸着
著者:ルジャニネG., ベネシュP., シュタムベルグK., ジョクサスK., クラカウスカイテI.
典拠:Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry、2013年3月、295巻、3号、1957-1967頁。
DOI: 10.1007/s10967-012-2281-1
キーワード:Pu(IV)、Pu(V)、底質、海水、吸着
概要:バルト海の底堆積物へのPuとAmの吸着については自然および実験室条件下で調査されてきた。データはAm(III)、Pu(IV)、Pu(V) の逐次抽出と吸着から得られ、酸化状態分布実験でPU(V)吸着メカニズムには、腐食物質によりおよび/もしくはFe(II)からPu(IV)および部分的にはPu(III)により、Pu(V)からPu(IV)へのきわめて高速の還元(反応速度≤ 2.33 × 10 −3 s -1)が含まれていることも示された。還元後、イオン交換、表面錯体形成反応および鉄鉱物の結晶構造中へのゆっくりとした取込みによって、Puの同位体は底質の様々な構成要素と結合した。動力学実験によってPu(V)、Pu(IV)およびAm(III)の自然海水から底質への吸着が不活性層拡散処理によって制御されていることが分かった。
URL:http://link.springer.com/article/10.1007/s10967-012-2281-1
タイトル:トルコの野生キノコ中の137Cs、40K、アルカリ・アルカリ性土類元素および重金属の濃度
著者:カラデニズÖ., ヤプラクG.
典拠:Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry、2010年9月、285巻、3号、611-619頁。
DOI: 10.1007/s10967-010-0575-8
キーワード:キノコ、137Cs、40K、内部線量、アルカリ・アルカリ性土類元素、重金属
概要:2002年に、大規模な研究がイズミルの森林サイトで行われた。この初の研究結果によって、イズミル地域で採集されたキノコに含まれる137Csと40K濃度の定量、また放射性核種で汚染されたキノコの摂取による人々の線量の評価が初めて明らかとなった。キノコの濃度値は137Csに関しては検出限界以下から401±4Bqkg−1(乾燥重量)までと広い範囲に渡って様々だった。異なる種のキノコから得られた40K濃度値は588±26Bqkg−1から2024±63Bqkg−1(乾燥重量)に渡った。キノコの摂取による137Csの年間実効線量値は、2007年ICRPによる「現在の」被ばく状況の基準レベル値である1mSvを下回った。誘導結合プラズマ質量分析によってキノコサンプル中の多くのアルカリ・アルカリ性土類元素および重金属を測定した。137Cs濃度と安定元素の関係が示され、キノコ中の金属の発生について評価が行われた。
URL:http://link.springer.com/article/10.1007/s10967-010-0575-8
タイトル:福島原子力事故後のギリシャ北西部における環境放射能測定
著者:イオアニデスK., スタモウリスK., パパクリストドウロウC.
典拠:Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry、2013年11月、298巻、2号、1207-1213頁。
DOI: 10.1007/s10967-013-2527-6
キーワード:福島、放射性ヨウ素、放射性セシウム、線量評価、ギリシャ
概要:北西ギリシャにおける福島原発事故の影響がイオアニナ大学核物理研究所による環境モニタリングプログラムを通じて調査された。大気中の粒子、ヒツジのミルク、草サンプルにおける131Iの測定が行われた。日常のエアゾールサンプリング中、放射性ヨウ素は2011年3月25日〜26日に初めて検出され、2011年4月2日~4日の間に最高レベル294μBqm−3に達した。ヒツジのミルクサンプルにおいては、131I濃度は2011年4月2日~6日に2.0~2.7BqL−1で、一方草サンプルでは2011年4月4日に2.7Bqkg−1の平均線量が測定された。134,137Csの同位体は全サンプルで検出限界以下で、大気中でのみ日常の複数のフィルタの解析によって測定することができた。24μBqm−3となった137Csの最大平均放射能濃度が観測されたのは2011年4月5日~9日のことで、134Cs/137C放射能比は1に近かった。放射能濃度は国内の他地域の測定値と一致しており、チェルノブイリ事故後の1986年5月に報告されたものを大幅に下回った。131Iの呼吸による全身および甲状腺への預託実効線量が成人と幼児集団について測定され、公衆衛生に全く影響が無いことが分かった。
URL:http://link.springer.com/article/10.1007/s10967-013-2527-6