カテゴリー「生態・環境」
タイトル:チェルノブイリの西側の痕跡沿いの放射性プルーム特性の再構築
著者:チェサーR. K., ボンダルコフM., ベイカーR. J., ウィクリフJ. K., ロジャースB. E.
典拠:環境放射能ジャーナル、71巻、2号、2004年、147-157頁。
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S0265-931X(03)00165-6
キーワード:チェルノブイリ、放射能、放射性降下物、分散、エアロゾル
概要:チェルノブイリ原子力施設の西1.5kmの赤い森の435のサンプル・ステーションから得たデータを使い、事故によって放出された初期のプルームの堆積経路、チェルブイリの西側トレースを再構築した。プルームの寸法および堆積速度は事故から15年後に厳密に定義されたままである。当初の雲内で均一な粒子分布を仮定し、各サンプル点における座標に幾何学的変換を適用することによってプルーム寸法の推定値を導いた。放射性雲の見積もりにより、この地域の放射能の変化の87%を説明できる。その結果、4号原子炉から264°の方位に出た幅約660メートル、高290メートルの放射線の雲の高度に統合されたベル型の断面が得られた。チェルノブイリの西側トレース内の粒子サイズは吸入エアロゾルにとって最も危険な範囲内(2-5μm)にあった。したがって、このような粒子の分散物の再建は核および生物学的エアゾール放出の余波を理解するために重要である。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X03001656
タイトル:チェルノブイリ事故から10年後のレバノンの土壌における放射性セシウムの分析
著者:エル・サマドO., ザラマンK., ベイダウンR., ナスレディーヌM.
典拠:環境放射能ジャーナル、92巻、2号、2007年、72-29頁。
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.jenvrad.2006.09.008
キーワード:セシウム137、放射能濃度、土壌、チェルノブイリ事故、レバノン
概要:1986年5月初めに放射性雲がレバノン上空に移動したために来たチェルノブイリ原子炉事故の放射性降下物を、土壌中のセシウム137の濃度レベルを測定するため事故後12年に渡って調査した。ガンマ分光測定は同軸型高感度HPGe検出器を用いて行った。レバノン国土中に均一に広がる地点から、放射能を測定するために90以上の土壌サンプルが集められた。得られたデータは、表面積汚染当たりの比較的高いセシウム137の放射能、表土層0〜3cm中最高6545 Bq m -2を示した。表土層深さ0〜3cmにおけるセシウム137の放射能は乾燥土壌で15~119 Bq kg -1の間で、平均は乾燥土壌で59.7 Bq kg −1だった。水平変動はサンプリングサイト間で約45%であった。土壌中のセシウム137の放射能全体の深度分布は指数関数的減少を示した。選択されたサイトのセシウム137で汚染された土壌からの外部放射線による年間実効の推定は19.3~91.6 μSv y −1の間の値となった。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X06001676
タイトル:チェルノブイリ事故前後における表面空気における季節的なベリリウム7とセシウム137の放射能
著者:クランA.
典拠:環境放射能ジャーナル、90巻、2号、2006年、140-150頁。
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.jenvrad.2006.06.010
キーワード:ベリリウム7、セシウム137、大気、エアロゾル、チェルノブイリ放射性降下物、核兵器降下物、スウェーデン、ヨーロッパ
概要:表面空気(エアロゾル)における宇宙線の7Be(半減期=53.4日)と人為的なセシウム137(半減期=30年)の放射能の季節変動が、高緯度(北緯56°–北緯68°、スウェーデン)における長期データ記録(1972-2000年)から抽出された。週平均の標準値が長期的傾向を管理するのに使用され、周期的な動向を調査することができた。7Beの放射能の増加は春と夏の季節に見られ、対流圏界面の季節間伐に関連していると考えられる。セシウム137の行動記録の変動は、同位体がいかに大気中に注入したか(爆弾試験から成層圏およびチェルノブイリ事故から対流圏)、またその後の移動メカニズムを反映していると考えられる。したがって、1986年までは、表面空気のセシウム137の放射能は核兵器テスト降下物と強く関わり、7Beに似た時間変動を示した。逆に、1986年以降はチェルノブイリによるセシウム137が長期的記録を占め、大気境界層条件によって強く制御された年間サイクルを示している。さらに、チェルノブイリ事故後の時期の短期的データはその年を通じて起こったと考えられるセシウム137が豊富な気団の微妙な侵入、そしてこれらの緯度で空間的に発生したことによる違いを示している。これは、年々の変動に関連付けるべき、また短期データ記録を解釈する際に注意を促す重要な観察である。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X06001032
タイトル:チェルノブイリ冷却池の燃料粒子:修復オプションの現在の状態と予測
著者:ブルガコフA., コノプレフA., スミスJ., ラプテフG., ヴォイツェホヴィチO.
典拠:環境放射能ジャーナル、100巻、4号、2009年4月、329-332頁。
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.jenvrad.2008.12.012
キーワード:チェルノブイリ、冷却池、燃料粒子、ストロンチウム90、分解、修正
概要:今後数年間、チェルノブイリ冷却池(CP)の管理と修復戦略が実行される。修復オプションには冷却池の表面水位の制御の減少と露出した堆積物の安定化が含まれる。地上土壌中のチェルノブイリ事故の際に付着した燃料粒子は現在ではほぼ消滅した。しかしCPの堆積物中のストロンチウム90の放射能の大部分は燃料粒子の形態のままである。低い溶存酸素濃度および高いpHにより、CPの堆積物中の燃料粒子の分解は土壌におけるよりも大幅に遅い。プリピャチ川から池への水の汲み上げ計画停止後、堆積物の深刻な領域は排水され、空気に晒されることになる。これによって分解速度はかなり増し、それに従い、放射性核種の移動性および生物学的利用能は時間の経過とともに増加する。露出した底質の酸性化速度は、同質の土壌の石灰化後の酸性化に基づいて予測した。土壌や堆積物への燃料粒子の分解速度に関連する経験式を使用して、phによって燃料粒子の分解および別の修復シナリオによるストロンチウム90の行動を予測することができた。露出した堆積物においては燃料粒子は15~25年でほぼ完全に分解するが、浸水したままの冷却池の一部においては、燃料粒子の分解には約1世紀かかるだろう。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X08002324
タイトル:チェルノブイリ事故で汚染された農村地域のための修復戦略
著者:ヤコブP., フェセンコS., フィルサコヴァS. K., リフタレフI. A., ショトラC., アレクサヒンR. M., ジュチェンコY. M., コフガンL., サンジャロヴァN. I., アゲイェツV.
典拠:環境放射能ジャーナル、56巻、1-2号、2001年、51-76頁。
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S0265-931X(01)00047-9
キーワード:チェルノブイリ事故、セシウム137、修復、汚染、線量
概要:本稿の目的は、決定グループへの年間線量がいまだ1mSvを超えているチェルノブイリ事故で汚染された農村集落のための修復戦略を導き出すことである。70の汚染村落において大規模な放射生態学データが収集された。これらのデータに基づく線量モデルから、ベラルーシ、ロシアおよびウクライナの責任省庁によって公開された公式線量推定値(「カタログ線量」)に近い、もしくは少ない見積りが得られた。大規模に適用することができる8つの是正措置のために、その有効性とコストについて土壌種類と汚染レベル、また以前の改善措置の適用程度に応じた観点から見積もられた。修復戦略は70の村落において、年間線量が1mSvを下回ると評価されるまで、回避線量当たりのコストが最も低く、農家や自治体間で最も高く支持された是正措置を選択することによって導入された。結果は11の汚染/内部線量カテゴリーに一般化された。カテゴリー上に分散した3カ国における農村住民と個人所有の牛の合計数が算出され、2015年まで予測された。それらのデータに基づき、全被災者のためのコストと回避線量が導き出された。主な結果は以下の通りである。(i)約2000 Svならば比較的低コストで回避することができる。(ii)外部被ばくを低減することにより重点を置く必要がある。(iii)年間線量1 mSv達成を目指すならば、干し草の土地や牧草地の思い切った改善と牛へのプルシアンブルーの適応が大規模に行われるべきである。(iv)さらなる重要な是正措置によってジャガイモ畑、食品モニターの分布、キノコの消費量の制限が改善される。(v)いくつかの村落の住民(計約8600人)においては是正措置で年間線量を1 mSv以下に低減することはできないと考えられる。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X01000479
タイトル:チェルノブイリ事故後長期に渡るロシアの農村集落における人口の被ばくを司る重要なファクターと対策アプリケーション
著者:フェセンコS., ヤコブP., アレクサヒンR., サンジャロヴァN. I., パノフA., フェセンコG., セシルL.
典拠:環境放射能ジャーナル、56巻、1-2号、2001年、77-98号。
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S0265-931X(01)00048-0
キーワード:対策、チェルノブイリ、農村集落、修復、ロシア
概要:チェルノブイリ事故後の汚染され年間線量1 mSv a− 1を超えるロシア連邦内の農村集落をセシウム137の汚染濃度、内部線量および森林の近隣に応じて分類した。最も汚染された地域を除き、植物の根の取り込みのセシウム137の可用性の低下に応じて内部線量が減少していることが分かった。セシウム137による汚染が555 kBq m −2を超える地域では逆の傾向が観察されたが、それは対策アプリケーションの縮小もしくは終了、あるいは限定的な対策がいまだ実行されている地域における林産物の増加消費によるものと考えられる。以前適応された対策の有効性を推定し、人口への放射線被ばくを司る最も重要なファクターおよびその時間的推移を確認するため、二十七村落が調査された。線量を40%まで減少させた対策の有効性が長期的には低下する傾向があることが示された。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X01000480
タイトル:ギリシャにおけるチェルノブイリ放射性降下物による長寿命放射性核種の地理的マッピングと関連するフラクタル解析
著者:ペトロプロスN. P., アナグノスタキスM. J., ヒニスE. P., シモポウロスS. E.
典拠:環境放射能ジャーナル、53巻、1号、2001年、59-66頁。
DOI:http://dx.doi.org/10.1016/S0265-931X(00)00111-9
キーワード:チェルノブイリ放射性降下物、マッピング、フラクタル解析、堆積パターン
概要:チェルノブイリ事故直後、土壌のサンプリング・プログラムが、チェルノブイリ放射性降下物中の長寿命放射性核種を検出し定量的に分析するために実施された。ギリシャにおいて1986年の5月~11月の間に表土から1㎝の土壌サンプル(1242種)が集められた。それらのサンプルはをGe検出器セットアップを使用して計数、分析された。放射性降下物のデータは既に解析、マッピングされ公開されている。この分析を改善し、他の放射性降下物の放射性核種にも適応する試みにおいて、社内のUNIXベースのデータベース/地理情報システム(DBGIS)が開発された。堆積パターンのマルチフラクタルも実施された。本研究では、…の堆積の結果の分析…関連フラクタル解析と3つの特徴的な等高線マップとともに提示されている。上記の放射性核種の検出値の最大値は、それぞれ149.5±0.1, 76.1±0.1, 32.9±0.2, 46±2, 4.56±0.02, 7.98±0.02, 79.1±0.4, 337±2, 20.1±0.2、および3.02±0.02 kBq m −2 であった。さらに、等高線マップを比較するための統計的手法が導入され、上記の放射性核種マップに出てきた差を説明するために適用された。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X00001119
タイトル:チェルノブイリの放射能がトナカイに留まる
著者:スクテルドL., ガレE., アイケルマンI. M., ホーブK., スタイネスE.
典拠:環境放射能ジャーナル、83巻、2号、2005年、231-252頁。
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.jenvrad.2005.04.008
キーワード:セシウム137、実効半減期、トナカイ、地衣類、植物、食物連鎖、チェルノブイリ
概要:土壌-植物/地衣類-トナカイの食物連鎖におけるセシウム137の転送についてノルウェイの中央(Østre Namdal) および南部 (Vågå)で2000年から2003年の間に調査が行われた。1986年のチェルノブイリ事故以来、それらの地域のトナカイに対して継続的に対策アプリケーションが施されてきた。両地域において、1995年以降の秋、もしくは1998年~1999年以降の冬に屠殺されたトナカイにおけるセシウム137濃度の低下は一切検知されていない。トナカイにおけるセシウム137濃度の季節による違いは近年ではあまり顕著ではないが、冬に比べて秋のセシウム137濃度が時折高い。土壌から植物へのセシウム137の転送はVågåよりもØstre Namdalにおいて有意に高かった。植物吸収のセシウム137の可用性に影響を与える地衣類の成長と豊かさおよび土壌特性に対する気候の影響が、以前に観察されたよりも、土壌-植物/地衣類-トナカイという食物連鎖における放射性セシウムの長期的転送に大きなインパクトを持つと仮定される。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X05001402
タイトル:チェルノブイリ立入禁止区域の廃棄物処分から地圏へのストロンチウム90の移行
著者:ドゥヴィエールL., ブガイD., グルニエC., カシュパロフV., アハムダッチN.
典拠:環境放射能ジャーナル、74巻、1-3号、2004年、139-150頁。
DOI:http://dx.doi.org/10.1016/j.jenvrad.2004.01.019
キーワード:チェルノブイリ、ストロンチウム90、燃料粒子、地下水、レターデーション、収着、ハイドロ分散
概要:核燃料粒子を含むシャロートレンチからのストロンチウム90のリリースを制御するプロセス、および底にある砂の帯水層内のその後の放射性核種の輸送の特性評価を目的とする現在進行中のフィールドスケール実験的研究(すなわちチェルノブイリ・パイロットサイト・プロジェクト)から結果が得られた。廃棄物の顕微鏡分析と浸出実験により、放射性インベントリの10〜30%が化学的に特に安定しているZr-U-O粒子と関連していることが示された。トレンチ内のストロンチウム90の活動の最大の割合(≈30–60%)は現在比較的ゆっくり溶解している非酸化UO 2 マトリックス燃料粒子と関連している。風成砂の帯水層におけるストロンチウム90の移動速度は地下水流速≈9%に吸着することによって遅くなっている(K d ≈ 2 ml/g)。地球統計学によって予測された帯水層における非反応性溶質輸送のための分散性値(すなわち0.8 6 cm)が36Clを用いた自然勾配トレーサー試験によって確認された。透水係数と帯水層の堆積物のKdとの間で観察された負の相関が示しているのは、36Clと比較するとストロンチウム90は地下においてより広く分散するということである。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X04000244
タイトル:フィンランドの湖の底質中におけるチェルノブイリ由来のセシウム137の蓄積
著者:イラスE., ザクセンR.
典拠:環境放射能ジャーナル、82巻、2号、2005年、199-221頁。
DOI:http://dx.doi.org/10.1016/j.jenvrad.2005.01.008
キーワード:湖沼堆積物、チェルノブイリの放射性降下物、セシウム137、沈降速度
概要:フィンランドの複数の湖沼の底質中におけるチェルノブイリ由来のセシウム137の量と垂直分布について調査した。2000年および2003年に9つの湖の12地点において土砂と表層水のサンプルを採り、その結果を1969年、1978年、1988年および1990年に実施された同様の調査で得られたものと比較した。フィンランドにおけるチェルノブイリ放射性降下物の5つの沈殿カテゴリーが示された。堆積物中のセシウム137の深さプロファイルによって調査された湖の著しい多様性が分かった。ピーク値は乾燥重量で1.5~46 kBq kg -1 の間で変化した。ピークの大きさと形状は常にエリア内の堆積量と相関するわけではなかったが、逆に、別の湖沼の堆積プロセスの違いを反映していた。ある湖ではピークは最上(0-2 cm)の堆積層で発生したが、極端な場合、ピークは22〜23cmの深さで発生しており、チェルノブイリ事故後の14年間における16mm -1/年という沈降速度に対応していた。堆積物中のセシウム137総量は、調査したサンプリング地点では15〜170 kBq m -2 の間で変化した。1990年以降、総量は二つの湖においてわずかに増加し続けているが、その他の湖では減少し始めた。ほとんどの湖で、堆積物中のセシウム137の総量は局所堆積におけるよりも約1.5-2倍高かった。二つの湖ではこの比は1未満であったが、1つのケースでは3.2だった。1960年代後半および1970年代における同じ地点のセシウム137の総量と比較すると、その値は現在約60倍と最高となった。堆積物中のセシウム137の値に影響を与える最も重要な要因は堆積のローカル量と湖および堆積物のタイプだが、さらに他の多くの要因が存在すると考えられる。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X0500041X