チェルノブイリで被ばくした子どもの血漿中における染色体異常誘発因子
タイトル:チェルノブイリで被ばくした子どもの血漿中における染色体異常誘発因子
著者:エメリットI., クアステルM., ゴールドスミスJ., マーキンL., レヴィA., チェルニャフスキL., アラウイ・ユスフィA., (…) リクリスE.
典拠:変異研究/変異誘発の基本と分子機構、373(1)、47-54頁、1997年1月。
デジタルオブジェクト識別子:10.1016/S0027-5107(96)00187-X
キーワード:チェルノブイリ、染色体異常誘発因子
概要:染色体異常誘発因子(CFs)は、原爆被爆者やチェルノブイリ原子力発電所のリクビダートル中の、事故あるいは治療で照射を受けた人々において見られたが、チェルノブイリで被ばくした子どもたちのの血漿中でも検出された。1990年にイスラエルに移住した170名の子どもたちから得たプラズマ限外ろ過液の高い割合が、健康なドナーからの血液を使用して設定した試験培養において染色体異常誘発効果を発揮した。それは、旧ソ連の「クリーン」な都市から移住した子どもたち、またはイスラエル生まれの子どもたちと比較すると、極めて有意に異なっていた。CF陽性の子どもたちの割合と調整された染色体異常スコア(ACS)の平均値は、キエフから来た子どもたちに比べると、高度に被ばくを受けた地点である(IAEAの測定による)ゴメリおよびマズィルから来た子どもたちが高かった。残留したセシウム137び体内負荷とCFsの存在との間に相関は認められなかった。しかし、双方の測定は同時に行われていなかった(それぞれ1990年および1992‐1994年)。また、甲状腺の肥大とCF陽性の間には関係は一切見られなかった。CFsは被ばく後にのみならず、自己免疫反応を伴う様々な慢性炎症性疾患でも見られる。ヒトにおいて最も高い癌発生率を伴う遺伝性疾患である先天性破損症候群においても見られる。CFsの循環によって継続的に生じた染色体異常誘発効果は悪性の晩期障害の危険因子を表しており、さらなる研究と追跡調査に値しよう。CF形成およびCF作用がスーパーオキシドラジカルによって媒介されるため、プラズマが強い陽性CFテストを引き起こすチェルノブイリで被ばくした子どもたちに対しては、酸化防止剤による予防治療が提案される可能性がある。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S002751079600187X
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