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ウクライナ、チェルノブイリのハタネズミのp53癌抑制遺伝子における塩基変化

タイトル:ウクライナ、チェルノブイリのハタネズミのp53癌抑制遺伝子における塩基変化

著者:ディウッデイJ. A.

典拠:Mutation research.(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10029670)、1999年2月2日、439(1)、25-36頁。

キーワード:

概要:1986年のチェルノブイリ災害によってウクライナとベラルーシの広大な地域が様々な放射性同位元素や重金属で汚染された。放射性同位体の90%以上は安定した化合物に減退したが、汚染地域の放射線レベルは依然として非常に高い。事実、原子炉の近くに住む数種のげっ歯類内部の134,137Cs濃度は8万Bq/g近い。脊椎動物の最近のいくつかの遺伝子解析によれば、チェルノブイリの放射線に曝露した生物の突然変異率は対照群に比べて高くなっているが、いずれものDNA配列についても研究されていない。げっ歯類のミトコンドリア遺伝子の塩基配列はもともと超可変と報告されていたが、これらの結果はその後撤回されている。本研究では、チェルノブイリおよび対照サイトのげっ歯類(ハタネズミ)4種におけるp53遺伝子におけるヌクレオチド変化の程度を決定するためのパイロット研究の結果を報告する。ハタネズミの異なる4種からなる30のマウスにおけるp53の788 bpの領域(コードおよび非コード)の配列決定を行った。集団レベルにおけるヌクレオチド変異は欠失および置換によるもので、共にイントロンに限られていた。放射性集団および対照集団におけるハプロタイプの数の間に有意差はなかった (p=0.60)。チェルノブイリの特異な突然変異圧力によって稀な対立遺伝子もしくは個別の対立遺伝子が生じた可能性がある。あるいは、自然選択が他のものより1つの対立遺伝子を支えたという可能性もある(すなわち選択的一掃)。これらのデータによってどちらのシナリオが強く支持されているということはない。したがってチェルノブイリ事故の明らかな遺伝的影響は居住しているハタネズミのp53遺伝子においては認められず、チェルノブイリのネズミにおいて突然変異率が実際に上昇しているかどうか決定するには、より大規模な調査が必要であろう。しかし2つの顕著な特徴としては、第一にコード領域における変異マーカーとしてのイントロンの有用性と、第二に変異検出研究におけるクローニングの優劣が挙げられる。

URL:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10029670

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