タイトル:1996-2003年ロシア、ブリャンスク州村落内外における地上放射性核種およびチェルノブイリ放射性核種からのガンマ線量率
著者:ラムザエフV., 米原英典, ヒルR., バルコフスキーA., ミシネA., サホーS. K., 黒瀧克己, 内山正史
典拠:環境放射能ジャーナル、85巻、2-3号、2006年、205-227頁。
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.jenvrad.2004.04.014
キーワード:チェルノブイリ事故、セシウム、地上放射性核種、ガンマ線量率、有効用量
概要:チェルノブイリ事故の結果汚染されたロシア国土の住民の現在の外部ガンマ線量を推定するため、典型的な都市部と郊外の場所で空気中に吸収されたガンマ線量率(DR)を測定した。ブリャンスク州西部のセシウム137沈着の初期レベルが13~4340 kBq m -2だった30集落(28の村と2つの町)において調査が行われた。町では、居住エリアとされていたのは個人の1階建ての木造もしくは石造りの家だった。DR値はガンマ線量計とガンマ分光計の助けを借りて行われたin situ測定および土壌分析の結果から得られた。調査対象となった地域では、地上放射性核種からのDR値は、家庭菜園、汚れ面、アスファルト面、木造住宅、石の家、集落内の草原、集落外の草原、耕された畑、森林の地点において、それぞれ25 ± 6、24 ± 5、50 ± 10、32 ± 6、54 ± 11、24 ± 8、20 ± 6、25 ± 8および18 ± 5 nGy h −1だった。1996~2001年には、セシウム137のDRの正規化された平均値(現在の土壌中のセシウム137のインベントリーMBq m -2あたり)は、家庭菜園、汚れ面、アスファルト面、木造住宅、石の家、集落内の草原、集落外の草原、耕された畑、森林の地点において、それぞれ0.41 ± 0.07、0.26 ± 0.13、0.15 ± 0.07、0.10 ± 0.05、0.05 ± 0.04、0.48 ± 0.12、1.04 ± 0.22、0.37 ± 0.07および1.15 ± 0.19 μGy h −1だった。この研究から得られた放射分析データとロシア住民のために他で測定された居住係数の値が、3つの選択された農村住民グループに対する年間実効線量の評価に使用された。1996~2001年におけるセシウム137から成人に対する正規化された外部実効線量(現在の地上沈着のセシウム137のMBq m -2あたり)は、職業活動と居住エリアの構造に応じて0.66~2.27 mSv y −1の範囲にあった。調査対象となったエリアでは、2001年におけるセシウム137の平均外実効線量は0.39~1.34 mSv y -1の範囲にあると推定された。天然の放射性核種からの平均外実効線量は、0.15~0.27 mSv y −1あるチェルノブイリ放射性降下物からのそれよりも低いことが明らかとなった。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X05002171
タイトル:ヨウ素131生態転送モデルの検証とロシア、プラフスク地区のチェルノブイリ放射性降下物データを用いた甲状腺の線量評価
著者:ズヴォノヴァI., クラィエウスキP., ベルコフスキV., アンマンM., デュファC., フィリストヴィチV., ホンマT., カニャルB., ネドヴェカイトT., シモンS. L., ヴラソフO., ウェベ・ウッドD.
典拠:環境放射能ジャーナル、101巻、1号、2010年1月、8-15頁。
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.jenvrad.2009.08.005
キーワード:チェルノブイリ事故、ヨウ素131、環境モデリング、モデルの検証、人口、甲状腺線量
概要:2003年にIAEAが主催したプロジェクト「放射線安全のための環境モデリング」(EMRAS)内で、いくつかの放射生態学転送モデルの計算を検証するためにロシアのトゥーラ州プラフスク地区におけるチェルノブイリ事故後のヨウ素131測定実験データが用いられた。9つのモデルが相互比較に出された。あらゆる村落におけるセシウム137の土壌汚染のレベルと数か所の堆積におけるヨウ素131/セシウム137同位体比が主な入力情報として扱われた。町人や村人の甲状腺におけるヨウ素131含有量の370の測定値、およびミルク内のヨウ素131濃度の90の測定値がモデル予測の検証のために用いられた。以前の相互比較試作と比較してモデル性能の著しい向上が実証された。様々なモデルの予測は観測と比較して3倍以内、ほぼ全員の参加者から得られた甲状腺への平均投与量の推定値間の不一致は10倍を超えなかった。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X09001751
タイトル:降水量に基づくスウェーデン南部スコーネ県における核爆弾テストおよびチェルノブイリ事故によるセシウム137の沈着の算出
著者:イサクソンM., エルランドソンB., リンダーソンM.-L.
典拠:環境放射能ジャーナル、49巻、1号、2000年5月、97-112頁。
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S0265-931X(99)00101-0
キーワード:堆積、沈殿、放射性カルシウム、グローバルフォールアウト、チェルノブイリの放射性降下物
概要:スウェーデン南部のスコーネ県(面積約100×100 km2)上の堆積について調査を行った。 沈着の原因は核兵器テストとチェルノブイリ原発事故が半々で、1-3 kBq/m2にまで及ぶ。調査エリア上に格子状に分布する16地点からの土壌試料中の放射能濃度が計測され、核兵器テストからの堆積とチェルノブイリ事故からの堆積が分離された。これらのチェルノブイリ事故前後の放射能を、2か所の沈殿物の放射能濃度の測定値から計算された堆積値および113~143の降水局ネットワークの測定値から計算された堆積値と比較した。in situ測定との比較、また航空測量による測定との比較が行われた。結果は良好で、いくつかの局からの1mm当たりの堆積の測定値、および局ネットワークの沈殿の測定値からの堆積の振り返りにおいて、質の良い詳細な知識を得ることができた。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X99001010
タイトル:チェルノブイリの西側の痕跡沿いの放射性プルーム特性の再構築
著者:チェサーR. K., ボンダルコフM., ベイカーR. J., ウィクリフJ. K., ロジャースB. E.
典拠:環境放射能ジャーナル、71巻、2号、2004年、147-157頁。
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S0265-931X(03)00165-6
キーワード:チェルノブイリ、放射能、放射性降下物、分散、エアロゾル
概要:チェルノブイリ原子力施設の西1.5kmの赤い森の435のサンプル・ステーションから得たデータを使い、事故によって放出された初期のプルームの堆積経路、チェルブイリの西側トレースを再構築した。プルームの寸法および堆積速度は事故から15年後に厳密に定義されたままである。当初の雲内で均一な粒子分布を仮定し、各サンプル点における座標に幾何学的変換を適用することによってプルーム寸法の推定値を導いた。放射性雲の見積もりにより、この地域の放射能の変化の87%を説明できる。その結果、4号原子炉から264°の方位に出た幅約660メートル、高290メートルの放射線の雲の高度に統合されたベル型の断面が得られた。チェルノブイリの西側トレース内の粒子サイズは吸入エアロゾルにとって最も危険な範囲内(2-5μm)にあった。したがって、このような粒子の分散物の再建は核および生物学的エアゾール放出の余波を理解するために重要である。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X03001656
タイトル:チェルノブイリ事故から10年後のレバノンの土壌における放射性セシウムの分析
著者:エル・サマドO., ザラマンK., ベイダウンR., ナスレディーヌM.
典拠:環境放射能ジャーナル、92巻、2号、2007年、72-29頁。
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.jenvrad.2006.09.008
キーワード:セシウム137、放射能濃度、土壌、チェルノブイリ事故、レバノン
概要:1986年5月初めに放射性雲がレバノン上空に移動したために来たチェルノブイリ原子炉事故の放射性降下物を、土壌中のセシウム137の濃度レベルを測定するため事故後12年に渡って調査した。ガンマ分光測定は同軸型高感度HPGe検出器を用いて行った。レバノン国土中に均一に広がる地点から、放射能を測定するために90以上の土壌サンプルが集められた。得られたデータは、表面積汚染当たりの比較的高いセシウム137の放射能、表土層0〜3cm中最高6545 Bq m -2を示した。表土層深さ0〜3cmにおけるセシウム137の放射能は乾燥土壌で15~119 Bq kg -1の間で、平均は乾燥土壌で59.7 Bq kg −1だった。水平変動はサンプリングサイト間で約45%であった。土壌中のセシウム137の放射能全体の深度分布は指数関数的減少を示した。選択されたサイトのセシウム137で汚染された土壌からの外部放射線による年間実効の推定は19.3~91.6 μSv y −1の間の値となった。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X06001676
タイトル:チェルノブイリ事故前後における表面空気における季節的なベリリウム7とセシウム137の放射能
著者:クランA.
典拠:環境放射能ジャーナル、90巻、2号、2006年、140-150頁。
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.jenvrad.2006.06.010
キーワード:ベリリウム7、セシウム137、大気、エアロゾル、チェルノブイリ放射性降下物、核兵器降下物、スウェーデン、ヨーロッパ
概要:表面空気(エアロゾル)における宇宙線の7Be(半減期=53.4日)と人為的なセシウム137(半減期=30年)の放射能の季節変動が、高緯度(北緯56°–北緯68°、スウェーデン)における長期データ記録(1972-2000年)から抽出された。週平均の標準値が長期的傾向を管理するのに使用され、周期的な動向を調査することができた。7Beの放射能の増加は春と夏の季節に見られ、対流圏界面の季節間伐に関連していると考えられる。セシウム137の行動記録の変動は、同位体がいかに大気中に注入したか(爆弾試験から成層圏およびチェルノブイリ事故から対流圏)、またその後の移動メカニズムを反映していると考えられる。したがって、1986年までは、表面空気のセシウム137の放射能は核兵器テスト降下物と強く関わり、7Beに似た時間変動を示した。逆に、1986年以降はチェルノブイリによるセシウム137が長期的記録を占め、大気境界層条件によって強く制御された年間サイクルを示している。さらに、チェルノブイリ事故後の時期の短期的データはその年を通じて起こったと考えられるセシウム137が豊富な気団の微妙な侵入、そしてこれらの緯度で空間的に発生したことによる違いを示している。これは、年々の変動に関連付けるべき、また短期データ記録を解釈する際に注意を促す重要な観察である。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X06001032
タイトル:チェルノブイリ冷却池の燃料粒子:修復オプションの現在の状態と予測
著者:ブルガコフA., コノプレフA., スミスJ., ラプテフG., ヴォイツェホヴィチO.
典拠:環境放射能ジャーナル、100巻、4号、2009年4月、329-332頁。
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.jenvrad.2008.12.012
キーワード:チェルノブイリ、冷却池、燃料粒子、ストロンチウム90、分解、修正
概要:今後数年間、チェルノブイリ冷却池(CP)の管理と修復戦略が実行される。修復オプションには冷却池の表面水位の制御の減少と露出した堆積物の安定化が含まれる。地上土壌中のチェルノブイリ事故の際に付着した燃料粒子は現在ではほぼ消滅した。しかしCPの堆積物中のストロンチウム90の放射能の大部分は燃料粒子の形態のままである。低い溶存酸素濃度および高いpHにより、CPの堆積物中の燃料粒子の分解は土壌におけるよりも大幅に遅い。プリピャチ川から池への水の汲み上げ計画停止後、堆積物の深刻な領域は排水され、空気に晒されることになる。これによって分解速度はかなり増し、それに従い、放射性核種の移動性および生物学的利用能は時間の経過とともに増加する。露出した底質の酸性化速度は、同質の土壌の石灰化後の酸性化に基づいて予測した。土壌や堆積物への燃料粒子の分解速度に関連する経験式を使用して、phによって燃料粒子の分解および別の修復シナリオによるストロンチウム90の行動を予測することができた。露出した堆積物においては燃料粒子は15~25年でほぼ完全に分解するが、浸水したままの冷却池の一部においては、燃料粒子の分解には約1世紀かかるだろう。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X08002324
タイトル:チェルノブイリ事故で汚染された農村地域のための修復戦略
著者:ヤコブP., フェセンコS., フィルサコヴァS. K., リフタレフI. A., ショトラC., アレクサヒンR. M., ジュチェンコY. M., コフガンL., サンジャロヴァN. I., アゲイェツV.
典拠:環境放射能ジャーナル、56巻、1-2号、2001年、51-76頁。
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S0265-931X(01)00047-9
キーワード:チェルノブイリ事故、セシウム137、修復、汚染、線量
概要:本稿の目的は、決定グループへの年間線量がいまだ1mSvを超えているチェルノブイリ事故で汚染された農村集落のための修復戦略を導き出すことである。70の汚染村落において大規模な放射生態学データが収集された。これらのデータに基づく線量モデルから、ベラルーシ、ロシアおよびウクライナの責任省庁によって公開された公式線量推定値(「カタログ線量」)に近い、もしくは少ない見積りが得られた。大規模に適用することができる8つの是正措置のために、その有効性とコストについて土壌種類と汚染レベル、また以前の改善措置の適用程度に応じた観点から見積もられた。修復戦略は70の村落において、年間線量が1mSvを下回ると評価されるまで、回避線量当たりのコストが最も低く、農家や自治体間で最も高く支持された是正措置を選択することによって導入された。結果は11の汚染/内部線量カテゴリーに一般化された。カテゴリー上に分散した3カ国における農村住民と個人所有の牛の合計数が算出され、2015年まで予測された。それらのデータに基づき、全被災者のためのコストと回避線量が導き出された。主な結果は以下の通りである。(i)約2000 Svならば比較的低コストで回避することができる。(ii)外部被ばくを低減することにより重点を置く必要がある。(iii)年間線量1 mSv達成を目指すならば、干し草の土地や牧草地の思い切った改善と牛へのプルシアンブルーの適応が大規模に行われるべきである。(iv)さらなる重要な是正措置によってジャガイモ畑、食品モニターの分布、キノコの消費量の制限が改善される。(v)いくつかの村落の住民(計約8600人)においては是正措置で年間線量を1 mSv以下に低減することはできないと考えられる。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X01000479
タイトル:チェルノブイリ事故後長期に渡るロシアの農村集落における人口の被ばくを司る重要なファクターと対策アプリケーション
著者:フェセンコS., ヤコブP., アレクサヒンR., サンジャロヴァN. I., パノフA., フェセンコG., セシルL.
典拠:環境放射能ジャーナル、56巻、1-2号、2001年、77-98号。
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S0265-931X(01)00048-0
キーワード:対策、チェルノブイリ、農村集落、修復、ロシア
概要:チェルノブイリ事故後の汚染され年間線量1 mSv a− 1を超えるロシア連邦内の農村集落をセシウム137の汚染濃度、内部線量および森林の近隣に応じて分類した。最も汚染された地域を除き、植物の根の取り込みのセシウム137の可用性の低下に応じて内部線量が減少していることが分かった。セシウム137による汚染が555 kBq m −2を超える地域では逆の傾向が観察されたが、それは対策アプリケーションの縮小もしくは終了、あるいは限定的な対策がいまだ実行されている地域における林産物の増加消費によるものと考えられる。以前適応された対策の有効性を推定し、人口への放射線被ばくを司る最も重要なファクターおよびその時間的推移を確認するため、二十七村落が調査された。線量を40%まで減少させた対策の有効性が長期的には低下する傾向があることが示された。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X01000480
タイトル:ギリシャにおけるチェルノブイリ放射性降下物による長寿命放射性核種の地理的マッピングと関連するフラクタル解析
著者:ペトロプロスN. P., アナグノスタキスM. J., ヒニスE. P., シモポウロスS. E.
典拠:環境放射能ジャーナル、53巻、1号、2001年、59-66頁。
DOI:http://dx.doi.org/10.1016/S0265-931X(00)00111-9
キーワード:チェルノブイリ放射性降下物、マッピング、フラクタル解析、堆積パターン
概要:チェルノブイリ事故直後、土壌のサンプリング・プログラムが、チェルノブイリ放射性降下物中の長寿命放射性核種を検出し定量的に分析するために実施された。ギリシャにおいて1986年の5月~11月の間に表土から1㎝の土壌サンプル(1242種)が集められた。それらのサンプルはをGe検出器セットアップを使用して計数、分析された。放射性降下物のデータは既に解析、マッピングされ公開されている。この分析を改善し、他の放射性降下物の放射性核種にも適応する試みにおいて、社内のUNIXベースのデータベース/地理情報システム(DBGIS)が開発された。堆積パターンのマルチフラクタルも実施された。本研究では、…の堆積の結果の分析…関連フラクタル解析と3つの特徴的な等高線マップとともに提示されている。上記の放射性核種の検出値の最大値は、それぞれ149.5±0.1, 76.1±0.1, 32.9±0.2, 46±2, 4.56±0.02, 7.98±0.02, 79.1±0.4, 337±2, 20.1±0.2、および3.02±0.02 kBq m −2 であった。さらに、等高線マップを比較するための統計的手法が導入され、上記の放射性核種マップに出てきた差を説明するために適用された。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X00001119