タイトル:チェルノブイリの放射能がトナカイに留まる
著者:スクテルドL., ガレE., アイケルマンI. M., ホーブK., スタイネスE.
典拠:環境放射能ジャーナル、83巻、2号、2005年、231-252頁。
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.jenvrad.2005.04.008
キーワード:セシウム137、実効半減期、トナカイ、地衣類、植物、食物連鎖、チェルノブイリ
概要:土壌-植物/地衣類-トナカイの食物連鎖におけるセシウム137の転送についてノルウェイの中央(Østre Namdal) および南部 (Vågå)で2000年から2003年の間に調査が行われた。1986年のチェルノブイリ事故以来、それらの地域のトナカイに対して継続的に対策アプリケーションが施されてきた。両地域において、1995年以降の秋、もしくは1998年~1999年以降の冬に屠殺されたトナカイにおけるセシウム137濃度の低下は一切検知されていない。トナカイにおけるセシウム137濃度の季節による違いは近年ではあまり顕著ではないが、冬に比べて秋のセシウム137濃度が時折高い。土壌から植物へのセシウム137の転送はVågåよりもØstre Namdalにおいて有意に高かった。植物吸収のセシウム137の可用性に影響を与える地衣類の成長と豊かさおよび土壌特性に対する気候の影響が、以前に観察されたよりも、土壌-植物/地衣類-トナカイという食物連鎖における放射性セシウムの長期的転送に大きなインパクトを持つと仮定される。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X05001402
タイトル:チェルノブイリ立入禁止区域の廃棄物処分から地圏へのストロンチウム90の移行
著者:ドゥヴィエールL., ブガイD., グルニエC., カシュパロフV., アハムダッチN.
典拠:環境放射能ジャーナル、74巻、1-3号、2004年、139-150頁。
DOI:http://dx.doi.org/10.1016/j.jenvrad.2004.01.019
キーワード:チェルノブイリ、ストロンチウム90、燃料粒子、地下水、レターデーション、収着、ハイドロ分散
概要:核燃料粒子を含むシャロートレンチからのストロンチウム90のリリースを制御するプロセス、および底にある砂の帯水層内のその後の放射性核種の輸送の特性評価を目的とする現在進行中のフィールドスケール実験的研究(すなわちチェルノブイリ・パイロットサイト・プロジェクト)から結果が得られた。廃棄物の顕微鏡分析と浸出実験により、放射性インベントリの10〜30%が化学的に特に安定しているZr-U-O粒子と関連していることが示された。トレンチ内のストロンチウム90の活動の最大の割合(≈30–60%)は現在比較的ゆっくり溶解している非酸化UO 2 マトリックス燃料粒子と関連している。風成砂の帯水層におけるストロンチウム90の移動速度は地下水流速≈9%に吸着することによって遅くなっている(K d ≈ 2 ml/g)。地球統計学によって予測された帯水層における非反応性溶質輸送のための分散性値(すなわち0.8 6 cm)が36Clを用いた自然勾配トレーサー試験によって確認された。透水係数と帯水層の堆積物のKdとの間で観察された負の相関が示しているのは、36Clと比較するとストロンチウム90は地下においてより広く分散するということである。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X04000244
タイトル:フィンランドの湖の底質中におけるチェルノブイリ由来のセシウム137の蓄積
著者:イラスE., ザクセンR.
典拠:環境放射能ジャーナル、82巻、2号、2005年、199-221頁。
DOI:http://dx.doi.org/10.1016/j.jenvrad.2005.01.008
キーワード:湖沼堆積物、チェルノブイリの放射性降下物、セシウム137、沈降速度
概要:フィンランドの複数の湖沼の底質中におけるチェルノブイリ由来のセシウム137の量と垂直分布について調査した。2000年および2003年に9つの湖の12地点において土砂と表層水のサンプルを採り、その結果を1969年、1978年、1988年および1990年に実施された同様の調査で得られたものと比較した。フィンランドにおけるチェルノブイリ放射性降下物の5つの沈殿カテゴリーが示された。堆積物中のセシウム137の深さプロファイルによって調査された湖の著しい多様性が分かった。ピーク値は乾燥重量で1.5~46 kBq kg -1 の間で変化した。ピークの大きさと形状は常にエリア内の堆積量と相関するわけではなかったが、逆に、別の湖沼の堆積プロセスの違いを反映していた。ある湖ではピークは最上(0-2 cm)の堆積層で発生したが、極端な場合、ピークは22〜23cmの深さで発生しており、チェルノブイリ事故後の14年間における16mm -1/年という沈降速度に対応していた。堆積物中のセシウム137総量は、調査したサンプリング地点では15〜170 kBq m -2 の間で変化した。1990年以降、総量は二つの湖においてわずかに増加し続けているが、その他の湖では減少し始めた。ほとんどの湖で、堆積物中のセシウム137の総量は局所堆積におけるよりも約1.5-2倍高かった。二つの湖ではこの比は1未満であったが、1つのケースでは3.2だった。1960年代後半および1970年代における同じ地点のセシウム137の総量と比較すると、その値は現在約60倍と最高となった。堆積物中のセシウム137の値に影響を与える最も重要な要因は堆積のローカル量と湖および堆積物のタイプだが、さらに他の多くの要因が存在すると考えられる。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X0500041X
タイトル:チェルノブイリ事故後の長期的改善戦略の正当化
著者:フェセンコS., ヤコブP., ウラノフスキーA., チュポフA., ボグデヴィチI., サンジャロヴァN., カシュパロフV., パノフA., ジュチェンカYu.
典拠:環境放射能ジャーナル、119巻、2013年5月、39-47頁。
DOI:http://dx.doi.org/10.1016/j.jenvrad.2010.08.012
キーワード:チェルノブイリ事故、セシウム、電離放射線、放射線防護、リハビリテーション、修正
概要:チェルノブイリ原発事故後、ベラルーシ、ロシアおよびウクライナで多くの様々な是正措置が開発、実施された。対策の適用に関する勧告と是正措置は1994年にIAEAによって「放射性核種放出事故後の農業対策のためのガイドライン」として公にされた。それ以来、環境中の放射性核種の挙動および長期的対策の有効性に関する新しい情報が得られ、チェルノブイリ・フォーラムを含む多くのプロジェクトによって見直された。さらに修復戦略を導く新しいアプローチが開発され、最も被害を受けた国々で成功裏に実現された。本稿では、この経験に基づいてチェルノブイリ事故の影響を最も受けた地域の復興のために提案された修復戦略の正当性を解説する。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X10001992
タイトル:慢性的な低レベル電離放射線からのメラトニン保護
著者:ライターR. J., コルクマズA., マS., ロサレス·コラルS., タンD.-X.
典拠:変異研究/変異研究レビュー、751(1)、7-14頁、2012年7月。
doi:10.1016/j.mrrev.2011.12.002
キーワード:慢性放射線被ばく、放射性同位元素、長引く放射能、メラトニン
概要:本研究では、慢性的な低レベルの電離放射線に対する保護剤として内因的に産出された分子であるメラトニンの使用を支持する公刊書の要約を行う。in vitro条件下でメラトニンは細胞DNAスーパーコイルプラスミドDNAをセシウム137やX線被曝による電離放射線損傷から均一に保護することが分かった。同様に、ヒトが経口メラトニンを与えられ、その後、その血リンパ球を採取しセシウム137電離放射線に曝露するというin vivo/in vitro調査において、メラトニンを摂取した個人の細胞の核DNA(血中濃度が上昇した)は対照固体のそれより損傷が少なかった。in vivo調査でも動物に与えられたメラトニンはDNAと脂質の損傷を防止し(境界膜の硬直性を含む)、セシウム137またはコバルト60放射線に暴露したときに死亡した動物の割合を減少させた。電離放射線によって与えられた損傷から高分子を保護するメラトニンの能力は、おそらく直接的なフリーラジカルのスカベンジャーとしての高い有効性に由来し、またおそらくは抗酸化酵素を刺激する能力による。経口またはその他の経路を介して摂取されたメラトニンは容易に吸収される。メラトニンの自己投与しやすさと毒性あるいは副作用の仮想不在は、非常に長い期間に渡って消費される場合、不注意な原発事故や意図的な核爆発や放射線分散装置、すなわち「汚い」爆弾の爆発の結果として大集団が長引く放射能汚染に晒されたような際には重要である。
…癌の発生の頻度を下げる。さらに癌が発生し、メラトニン…スリーマイル諸島、チェルノブイリそして福島[67…その…能力による…がんリスクの増加…甲状腺に集中…4つの原子…
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1383574211001001
タイトル:産業へのガイドライン 放射能緊急事態のヨウ化カリウム Q&A
典拠:[PDF-162K]2010年9月。アメリカ合衆国保健福祉省食品医薬局医薬品評価研究センター(CDER)
キーワード:
概要:本ガイドラインは本トピックに関する食品医薬品局(FDA)現在の考えを表している。これは何人にいかなる権利を発生させたり付与するものではなく、FDAまたは国民を拘束するものではない。適用法令や規制の要件を満たします場合は他の方法を用いることができる。
…甲状腺による放射性ヨウ素の取り込み…。現在の推奨…放射性ヨウ素曝露…甲状腺がんのリスクはチェルノブイリ原子炉事故後に増大…甲状腺がんのリスクが逆に年齢に関連していることを示唆している…
URL:http://www.fda.gov/downloads/Drugs/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/Guidances/ucm080546.pdf
タイトル:低レベル電離放射線に対する懸念* *1992年9月16日メイヨークリニックにおけるグランドラウンドプレゼンテーションに基づいて
著者:ヤローR. S.
典拠:メイヨークリニック議事録、69(5)、436-440頁、1994年5月。
doi: 10.1016/S0025-6196(12)61639-5
キーワード:LET、線エネルギー付与、低レベル電離放射線
<概要:…放射線誘発甲状腺結節の…は放射線誘発甲状腺癌のリスクより高い。そこで1990年の国際チェルノブイリプロジェクトの一環として、データ…集団における甲状腺結節の性質について得られた…
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0025619612616395
タイトル:事故によって電離放射線に晒されたこどものゲノムへのダメージ:文献の論評
著者:フチクA., ブルンボルグG., ラセンR., イェジェクD., クヌドセンL. E., メルロD. F.
典拠:変異研究/突然変異研究レビュー、658(1-2)、111-123頁、2008年1月。
doi:10.1016/j.mrrev.2007.11.003
キーワード:子ども、電離放射線、環境、染色体異常アッセイ、小核検定法、チェルノブイリ
概要:過去10年間に、環境に存在する物理的、化学物質に対する子どもたちの被ばくのメカニズムの知識は飛躍的に増大した。子どもたちの健康に焦点を当てた最近のプロジェクトやプログラムの結果、環境における遺伝子毒に対する子どもの特定の脆弱性が明らかとなった。子どもたちにおける環境調査は主に大気汚染の健康への影響を調査するものだが、放射線被ばくの影響はより多くの注目に値する。放射線に被ばくした子どものゲノム損傷に関する主な情報源は1986年のチェルノブイリ原発事故後に実施された諸調査である。本レビューで取り扱うのは、環境の中で電離放射線に晒された子どもたちにおけるゲノム損傷を分析する論文から収集したデータである。チェルノブイリ事故、核実験、環境放射線汚染および室内事故後に行われた研究からの証拠は概して、参照先の子どもたちにおけるよりも被ばくした子どもたちにおいて、一貫して増加する染色体異常および小核頻度を示している。
この分野における今後の研究は以下の情報を提供する内容に集中するべきである。(a)低線量の放射線による子どもたちへの影響、(b)低線量の放射線への被ばく、および食料、水や空気からの化学物質の組み合わせによる子どもへの影響、(c)幼児期被ばくによる特定の影響(水からの放射性同位体、家庭におけるラドン)。ゲノム損傷に対する適応応答の発生への放射化学的環境の影響の可能性についても特別な配慮を与えるべきである。対話型データベースが細胞遺伝学的データ、幼年期がん登録データおよび環境汚染に関する情報の統合を促すために開発されるべきである。全体的な目的は、放射線被ばくの早期および後日の健康への影響に関するより優れた知識によって、時機にかなった効率的な予防措置を導入することである。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1383574207000634
タイトル:チェルノブイリの教訓:事件、余波としての放射性降下物:放射性、社会的、政治的
著者:ロビンスJ.
典拠:甲状腺、7(2)、189-192頁、1997年4月。
doi:10.1089/thy.1997.7.189..
キーワード:
概要:1986年4月26日のチェルノブイリ原発事故によって、約40MCiのヨウ素131および100MCiの短命の放射性ヨウ素を含む、約300MCiの放射性物質が放出された。近辺では急性放射線症候群が143件、死亡が34名、数十万人が自宅から避難し、その多くは元の家に戻ることはなかった。その後の社会的、心理的ストレスは大きくまた長期化している。本稿では被ばくした子どもたちの甲状腺がんの発生率の上昇に焦点を当てた。外部放射線後の放射線誘発甲状腺がんは多く報告されているが、内部放射線によって甲状腺がんになったという人の証拠はほとんどなく、放射性ヨウ素被曝のリスク係数は不明である。これを明らかにするためには、1986年時点で子どもだった約5万人の甲状腺線量の再構築と前向きフォローアップが必要である。ベラルーシ南部の子どもにおける甲状腺がんは1990年に増加し始め、今ではベラルーシおよびウクライナ北部で約1000件認められている。これらの積極的に増殖する腫瘍、甲状腺乳頭癌のほぼすべての変異体は、放射能に被ばくしていない子どもたちの甲状腺がんに特徴的で、低い死亡率が予測される。しかし、悪性ならびに良性甲状腺新生物は、被ばくしたそれらの子どもたちの間で成人になってからも発生し続けると考えられる。
URL:http://online.liebertpub.com/doi/abs/10.1089/thy.1997.7.189
タイトル:チェルノブイリ事故とかかわりのあるベラルーシでのこどもの病気の発生率
著者:ロマトL., ガルバートG., クァステルM. R., ポリャコフS., オケアノフA., ロジンS.
典拠:環境健康展望、105、別冊6、1529-32頁、1997年。
キーワード:こども、ベラルーシ
概要:ベラルーシにおける癌および他の疾患の小児期の発症率の研究は、現在の不安定な環境状況ゆえに非常に重要である。チェルノブイリ事故の結果、共和国の約20%の子どもが様々なレベルで被ばくした。1987年以降たいていの種類の病気の発生率の増加が報告され、それには甲状腺がんの発生も含まれていた。1987年から1995年の間424名の子どもたちが甲状腺がんと診断され、その発生率は1995年には0.2から4.0/10(5)まで増加した。1996年の予備データでは81件の小児期のがんが報告されている。1995年においては、内分泌および皮膚科疾患や精神疾患の発生率の増加も見られた。1987年から1995年の間、あらゆる病気の発生率の有意な増加が、チェルノブイリ・レジストリに記載されている子供たちの間で観察された。最も高い発生率は、疎開児童および汚染地域に居住する子どもたちの間で見られた。それらの子どもたちにおいては甲状腺および消化器疾患の発生率増加も見られ、さらに慢性扁桃炎や咽頭炎の有病率の高さも観察された。1990年以降自己免疫性甲状腺炎の増加が観察されている。造血組織疾患の最も高い割合は事故後に被ばくした両親から生まれた子どもたちの間で見られる。
URL:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9467077