「リクビダートル:チェルノブイリの放射線の影響」
タイトル:「リクビダートル:チェルノブイリの放射線の影響」
著者: イワノフ V.
典拠:「原子力産業社会環境協力センター」 2010年 国立放射線登録局
キーワード:
概要:チェルノブイリ原発事故の原発事故処理従事者の医学的影響問題:国立登録局、被ばく線量、放射線影響の予測、事故から25年後の腫瘍・非腫瘍疾患の放射線リスクのデータ
タイトル:「リクビダートル:チェルノブイリの放射線の影響」
著者: イワノフ V.
典拠:「原子力産業社会環境協力センター」 2010年 国立放射線登録局
キーワード:
概要:チェルノブイリ原発事故の原発事故処理従事者の医学的影響問題:国立登録局、被ばく線量、放射線影響の予測、事故から25年後の腫瘍・非腫瘍疾患の放射線リスクのデータ
著者:O.ティムチェンコ
典拠:北海道大学スラブ研究センター 2013年『スラブ・ユーラシア研究報告集』別冊
はじめに
福島原発事故から日本人は何を学び、何を次世代に残し、そして、どう世界に教訓とし て伝えるのでしょう。 福島後に生じている様々な現象や問題は、単に原発の廃止か推進かという個別的な問い に関わるものではありません。むしろ、科学技術と人間、人間と環境、政治と市民、地域 と世界、国際社会と国家、文化と心、といった近代社会全体に係わる問題群を鋭く我々 に突きつけているかに思えます。こうした問題群に大学や学術がどう応えるのか、そして日本 がどう対処するのか、世界も注視しています。 福島原発事故によって避難を余儀なくされている被災者は復興庁の調べで 15 万人に のぼります。また、政府や自治体が把握していない自主避難者が大勢います。避難所に 暮らす被災者の間では、将来の展望、バラバラに離散した家族、放射能被曝の影響など について、情報が不確実でありしかも乏しいために、見通しのつかないまま暗所を手探りす るような生活を余儀なくされています。その思いは、たとえ避難はしなくても、原発事故の 影響をこうむっている地域に暮らし続ける人々にとっても同じです。
福島に先立つこと25 年前、チェルノブイリで原発事故が起きました。当初は大きな衝撃 を受けたにもかかわらず、時間の経過とともに、ほとんどの日本人は同事故を他人事と考え るようになり、そこから教訓をくみ取ることはできませんでした。しかし、チェルノブイリを経験 した現地の人々は、その後の四半世紀、日々、原発事故の後遺症や放射線被曝の問題 と向き合って生きています。事故当時にチェルノブイリがあったソ連邦という国家はもはや存 在しません。深刻な被曝を経験した地域は、ロシア、ウクラナイ、ベラルーシに分かれ、被
災者達の運命も変わりました。 北海道大学スラブ研究センターでは、文部科学省による科学研究費研究助成を受けて、 2012 年度から「大規模環境汚染事故による地域の崩壊と再興:チェルノブイリ、アイカ、
フクシマ」(家田修研究代表、2012 – 2015 年)と題する共同研究を行なっています。チェ ルノブイリと福島の教訓を、世界と未来の世代に伝えるためです。基礎研究を旨とするのが 大学の使命ではありますが、現実的な問題解決に役立つ成果はすぐにも公表しようと方針 を立て、その第一号として本冊子を刊行することにいたしました。 著者のオルガ・ティムチェンコ博士はウクライナ科学アカデミーの衛生・医学生態学研究 所に長年勤務する研究者です。彼女の経歴などは、本文冒頭で博士自身が語っています
9
ので、ここで屋上屋を重ねることはしません。本冊子を出版するに至った経緯だけを述べて おきましょう。
監訳者である家田は 2013 年 3 月にウクライナの首都キエフを訪れ、放射能研究関連の 研究施設をいくつか訪問しました。目的は、ウクライナにおけるチェルノブイリ研究を総合的 な視点からまとめ、日本に紹介することでした。ウクライナ科学アカデミーの衛生・医学生態 学研究所は、放射能の生態に対する影響の基礎研究で重要な役割を担っています。面 接に応じてくださった研究者の中で、中心的な立場にあるのがオルガ・ティムチェンコ博士で
した。 低線量被曝が今の日本人にとって非常に大きな関心事なっているので、是非とも、参考 になる論文を書いてくださいと彼女にお願いしました。オルガさんは「喜んでお引き受けしま す。ウクライナ人は日本人がウクライナの子どもたちを救ってくれたことに感謝しています。今 度は私たちがお返しをする番です」と快諾してくださいました。そして、5 月に送られてきた のがこの論文です。 ティムチェンコ論文にはチェルノブイリ事故後の四半世紀を生きてきたウクライナ人の生活と 歴史が凝縮されています。それは他に代えがたい経験であり、極めて貴重なものです。同 時に、そのまま全てを今の日本や福島の状況に当てはめることはできません。ティムチェンコ 博士も書いているように、放射能の影響を避けるためには、栄養のバランスがとても大切な 要素ですが、食生活は国や地域によって大きく異なります。今の日本の食生活は、ティムチェ
ンコ博士が想像しているような伝統的和食から、ファーストフードや既製品等の影響を強く受 けたものへと変化しています。とりわけ日本の若い世代の、海産物離れや野菜不足、総じ て言えば健康管理への無関心は著しいと言わなければなりません。また、甲状腺癌と同様 に、遺伝子の損傷が原因とされるアトピーやアレルギー、統合失調症などの患者が急増し ており、人々の免疫力が低下しているという事態も考慮しなければならないでしょう。 そうした日本の現状を踏まえて、日本人は日本人としての放射能リテラシ―(リテラシーと は、知識、理解力、実践力に基づく総合的な智慧のことです ) を築いてゆくことが大切です。 そのための第一歩として、先人であるウクライナのティムチェンコ博士の論文が水先案内の 役を果たしてくれると思います。 日本人のために、そして世界の次世代のためにこの論文を執筆してくださったティムチェン コ博士に心より感謝します。またこの場を借りて、在キエフ日本大使館勤務の宝川真純さ んにお礼を申し上げます。宝川さんから数年ぶりに届いたメールに「ウクライナの日本大使
10
館に勤務しています。チェルノブイリ関連業務担当です。お役にたてることがありましたら」 と記されていたことが、本出版の全ての始まりでした。宝川さんに励まされ、私のキエフ滞 在中の研究所や原子力規制院などへの訪問調整でもすっかりお世話になりました。宝川
一家の温かい歓迎と御主人のグルジア料理は忘れられない思い出です。 本論文はもともとロシア語で執筆されました。日本語訳文は、原子力安全問題研究の第 一人者である京都大学原子炉実験所勤務の今中哲二さんに点検をお願いしました。また、 英語訳文はスラブ研究センターの同僚であり英語の母語話者であるデイヴィッド・ウルフ博士 に、通読し点検していただきました。多忙を押して、細部にわたる貴重な助言をして下さっ たお二人にお礼を申し上げます。 本論文をロシア語から日本語へ、また英語へと翻訳する作業は、家田堯が行ないました。 彼は本年 3 月のウクライナ訪問に自費で参加し、筆者のおぼつかないロシア語を支えて通 訳を務め、今回もボランティアで翻訳にあたりました。 本論文の訳責は全て監訳者にあります。訳文や内容について、お気づきの点をご指摘 いただければ幸いです。 本論文が日本における放射能リテラシーの向上に役立つことを願いつつ。
2013 年 11 月 北海道大学スラブ研究センター 家田 修
タイトル:チェルノブイリ原発事故の要因により療養中の患者におけるアダプトゲンの臨床実験的確証
著者: チェバネンコ L.L.
典拠:論文 2009年 モスクワ
キーワード:
概要:チェルノブイリ原発事故の主な要因-137Cs低線量、慢性的な精神ストレスの解明。リハビリ効果、適応機能システム向上のためのウクライナのアダプトゲン「バリザム・クリムスキー」の効用。
タイトル:きのこのセシウム汚染の進化と収集後の処理の影響
著者:デイラントO., ボイリーD., ジョセットM., ヘドウィグB., フィッシャーW.
典拠:Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry September 2013、297巻、3号、437-441頁。
DOI: 10.1007/s10967-012-2411-9
キーワード: 放射性セシウム汚染、キノコ、処理radiocaesium, contamination, mushrooms, preparation
概要:文献ではキノコ中の放射性セシウムの取り込みに関してはかなり大量のデータが提供されている。子実体中の濃度の進化、および数年後の子実体から直接的な環境への放射性セシウムの「アウトバウンド」移行、すなわち調理技術に応じての希薄化に関しては比較的入手しにくい。福島における最近の事故によって、食品中の放射性核種に関して疑問が起こり、また続く消費者の被ばくは重要な課題となっている。本稿の目的は以下の2点である。(1)菌によるセシウムの取り込み時間の変化を調べるため、過去25年間に同じ場所で異なる間隔で成長した同種の分析を実施する。(2)放射線防護の観点から最重要事は、消費者によって取り込まれる放射能および未加工製品の汚染防止である。下処理は放射能濃度に多大な影響を与えうる。様々種類の食用キノコをヨーロッパおよび日本の汚染地域でサンプリングし、菌糸を抑制する(乾燥、低温凍結等)様々な下処理技術および加工(ボイル、塩水、酸および塩基性媒体中で浸軟)を加えた。異なる媒体のpHに調整され測定された。サンプルおよび媒体はガンマ線スペクトロメトリーで別々に分析した。
URL:http://link.springer.com/article/10.1007/s10967-012-2411-9
タイトル:野生の食用キノコの現在の放射能含有量:環境基準物質候補
著者:サーントーZs., フルトM., ヴェッチェンU., アルジツォグロウT.
典拠:Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry、2007年7月、273巻、1号、167-170頁。
DOI: 10.1007/s10967-007-0730-z
キーワード:野生キノコ、ヨーロッパ
概要:本論文では、ヨーロッパのさまざまな部分で2004年秋に採集されたキノコサンプルの放射線調査の結果を示した、この調査は、環境試料中の放射性核種測定の品質保証の認証標準物質を開発およびプロデュースするための意思決定を支援するために実施された。キノコ中の137Csレベルは乾燥質量基準で0.6~4300Bq/kg の広い範囲で様々だったが、天然の40Kのレベルは比較的安定していた。ひとつのサンプルで未知の起源の60Coのサンプルが検出された(乾燥質量で25±2 Bq/kg)が、90Sr濃度は通常、検出限界以下だった(乾燥質量で<150 mBq/kg)。 URL:http://link.springer.com/article/10.1007/s10967-007-0730-z
タイトル:チェルノブイリ放射性降下物後のキノコの長期的セシウム137汚染
著者:マスカンゾニD.
典拠:Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry、2001年7月、249巻、1号、245-249頁。
DOI: 10.1023/A:1013263114576
キーワード:セシウム137、汚染、キノコ、ヨーロッパ、スウェーデン
概要:チェルノブイリ事故の余波で高濃度セシウム137がいくつかのヨーロッパ諸国とスウェーデンで観測された。長期的なセシウム137汚染評価のため、二種の食用キノコを長期的調査のために選択した。1986年から1998年の間にSuillus variegatusとCantharellus spp.が収集され、そのセシウム137内容が評価された。その結果、セシウム137の放射能がSuillus variegatusには多かれ少なかれ一定量が残る一方、Cantharellus spp.では増加していることが分かった。このことは、低栄養基質、有機物の豊富さ、高いphによって摂取可能なセシウム137が維持されているキノコがいる森林環境システムを反映している。時間分布の減衰補正によって示されたのは、少なくとも中期的には、キノコのセシウム137量に影響を与える主な要因となるのは放射性崩壊だということである。
URL:http://link.springer.com/article/10.1023/A%3A1013263114576
タイトル:チェルノブイリ事故後ブラチスラバ(チェコスロバキア)におけるドライ、ウェットおよび蓄積性放射性降下物とミルク汚染
著者:コプルダV.
典拠: Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry、1990年11月19日、146巻、5巻、323-331頁。
DOI: 10.1007/BF02164235
キーワード:ミルク汚染、スロヴァキア
概要:チェルノブイリ事故後一か月間のブラチスラバにおけるドライ、ウェットおよび蓄積性放射性降下物と牛乳の放射能の総ガンマ放射能が計測された。得られた結果はスロバキアにおけるモニタリング・ネットの結果とよく一致していた。
URL:http://link.springer.com/article/10.1007/BF02164235
タイトル:チェルノブイリ事故1年後のトルコの生物相の放射能汚染
著者:アッチャイH., アルディソンG.
典拠:Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry、1988年11月1日、128巻、4号、273-281頁。
DOI: 10.1007/BF02166951
キーワード:放射能汚染、トルコ、生物相
概要:1987年6月15日~9月15日の間、トルコの黒海およびエーゲ海沿岸で採取されたサンプルにおけるチェルノブイリ事故後に広がった分裂した長寿命放射性核種を測定した。非破壊分析は高分解能γ分光法を用いて行った。事故後16ヶ月の残存放射能は針葉樹の針葉ならび地衣類に強く見られたが、食料品はあまり汚染を示さなかった。南ヨーロッパからの類似サンプルにおけるものと比較すると高めの106Ru/134Csおよび144Ce/134Cs比は、無反応性および不安定要素間の分画による可能性がある。
タイトル:チェルノブイリ原発事故被害住民のための公費負担薬剤保障の改善
著者: ハラハシャン A.A.
典拠:論文 2007年 ピャチゴルスク
キーワード: 医薬事業、ロストフ州
概要:チェルノブイリ原発事故被害にあったロストフ州住民のための、公費負担薬剤保障の、学術的アドバイスの検討。
タイトル:チェルノブイリ原発事故被害による障害度、発病率、身障者の社会保護システム改善の医療社会的基準
著者: アバジエワ N.L.
典拠:論文 2007年 モスクワ
キーワード: 検診、リハビリテーション
概要:チェルノブイリ原発事故の放射線汚染被害を受けた住民の、長期経過後における医療社会的リハビリテーションシステムの検討と確証。発病率、死亡率、障害度データに基づいた研究。