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ヒロシマとナガサキの生存者の60年の追跡:分子疫学研究の近年の進展

タイトル:ヒロシマとナガサキの生存者の60年の追跡:分子疫学研究の近年の進展

著者:中地敬、林奉権、濱谷清裕、江口英孝、楠洋一郎

典拠:変異研究/変異研究レビュー、659(1-2)、109-117頁、2008年7月。

デジタルオブジェクト識別子:10.1016/j.mrrev.2008.02.001

キーワード:放射線、原爆被爆者、体細胞変異、酸化ストレス、大腸発癌、マイクロサテライト不安定性、甲状腺発癌

概要:本稿では、日本の放射線影響研究所において実施された原爆被爆者の間で進められた分子疫学研究の概要を説明する。以下の点に焦点が当てられた。すなわち、(a)放射線誘発体細胞変異(グリコホリン(GPA)突然変異)に対する感受性の個体間変動と放射線関連癌における感受性の違いに対するそれらの潜在的関連性、(b)放射線誘発甲状腺および結腸直腸癌における特異的変異/再配列の役割である。グリコホリン変異体画分はそれぞれの生存者における推定骨髄線量の間で大きな差を示した。注目すべきは 用量≥1 Gyにおける発見である。すなわち、変異体画分の傾きが「非癌群」よりも「癌群」において有意に高い。この研究によって、今後数年の研究において放射線感受性の差異と遺伝的不安定性のそれぞれを評価するためのγH2AXと網状赤血球小核アッセイの使用を検証するための基礎が提供された。成人発症甲状腺乳頭がんの我々の分子腫瘍学研究からの予備結果によって、差異はあるもののRET/ PTC再配列とBRAF点突然変異(共に成人発症甲状腺乳頭癌における早期の事象であることが知られる)の誘発の証拠が得られた。すなわち再配列に関連したケースは高用量においてより頻繁で、BRAF変異を有するものよりも早く発達した。結腸直腸癌のケースでは、結腸直腸発癌の初期段階で発生する可能性があるMSI(マイクロサテライト不安定性)関連のエピジェネティックおよび遺伝的変化プロセスを経てMSI状態に放射線被曝が影響を与える可能性があることが、結果によって示された。
…日本人における自発的甲状腺がん…バリアント…甲状腺乳頭がんは見られない…この癌が頻繁に…チェルノブイリ後子どもたちの間で観察…。主な…甲状腺乳頭発がん…

URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1383574208000318

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