チェルノブイリ事故前後の地表空気におけるベリリウム7とセシウム137の季節による放射能の量
タイトル:チェルノブイリ事故前後の地表空気におけるベリリウム7とセシウム137の季節による放射能の量
著者:クランA.
典拠:環境放射能ジャーナル、90(2)、140-150頁、2006年1月
デジタルオブジェクト識別子:10.1016/j.jenvrad.2006.06.010
キーワード:ベリリウム7、セシウム137、大気、エアロゾル、チェルノブイリの放射性降下物、核兵器の放射性降下物、スウェーデン、ヨーロッパ
概要:地表空気(エアロゾル)における宇宙線によるベリリウム7(半減期=53.4日間)および人工的なセシウム137(半減期=30年)の放射能の季節変動が高緯度(北緯56度―北緯68度、スウェーデン)における長期データ記録(1972年-2000年)から抽出された。標準化した週平均値は、周期的な動向を調査することができるため、長期的傾向を管理するのに使用された。ベリリウム7の放射能の強化は春と夏に見られ、対流圏界面の季節的な希釈化に関係していると考えられる。セシウム137の放射能の変動記録は、同位体の大気中への導入のされ方(爆弾テストから成層圏およびチェルノブイ事故から対流圏)とその後の移送のメカニズムを反映していると考えられる。したがって、1986年までは地表空気のセシウム137の放射能は核実験降下物と強く関わっており、ベリリウム7と似た時間的変動を示していた。反対に、1986年以降のチェルノブイリ事故に由来するセシウム137については、大気境界層条件によって強く制御された年間サイクルを示す長期的記録が目立った。さらにチェルノブイリ事故後の期間における短期データが示しているのは、年間を通じて発生する可能性がある、多量のセシウム137を含む気団の油断できない侵入、またそれぞれの緯度上における発生による差である。年々変動の可能性があり、短期的なデータ記録を解釈する際には注意しなければならないといった貴重な所見を得た。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X06001032