トランスジェニック植物はチェルノブイリ事故による核汚染の敏感な生物指標である。
タイトル:トランスジェニック植物はチェルノブイリ事故による核汚染の敏感な生物指標である。
著者:コヴァルチュクI., コヴァルチュクO., アルヒポフA., ホーンB.
典拠:ネイチャーバイオテクノロジー、16(11)、1054-1059頁、1998年11月
デジタルオブジェクト識別子:10.1111/j.1749-6632.2009.04831.x
キーワード:チェルノブイリ、放射性核種、放射線分解、土壌、水生態系、生物蓄積、移行率、放射性形態形成
概要:チェルノブイリの原子炉事故による放射能汚染の土着の植物や動物集団に対する遺伝的影響を評価するためには、慢性的に被ばくした集団における遺伝的変化の蓄積速度を決定することが重要である。チェルノブイリ原子力発電所付近に住むヒトにおける生殖細胞変異率の増加、チェルノブイリで繁殖したツバメにおける生殖細胞変異の2-10倍の増加は報告されている。しかし、植物ゲノムに対する慢性照射の影響についてはほとんど知られていない。電離放射線によってDNAにおける二本鎖切断が引き起こされ、それは非正統的または相同組換えを介して修復される。我々はβ-グルクロニダーゼのマーカー遺伝子を有するシロイヌナズナ植物を、チェルノブイリ周辺の環境の核汚染によって引き起こされる植物の集団における遺伝的変化を監視する組換え基質として利用した。体細胞染色体内の組換え頻度の有意な(P<0.05)増加が、0.1-900 Ci/km2からの核汚染レベルにおいて観察され、染色体異常の増加と一致した。こうした生物指標は、便利で倫理的に許容可能な代替手段として動物の体系に供することができよう。 URL:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9831035?dopt=Abstract