タグ「ソビエト連邦」
著者: G. Stephan, U. Oestreicher
典拠: Mutation Research/Genetic Toxicology(変異研究/遺伝毒性学),第223巻,1号,1989,頁7–12
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/0165-1218(89)90057-8
Keywords: 染色体異常
概要:チェルノブイリ事故の一週間後にソ連各地からドイツへ帰国したドイツ国民達において、研究所コントロールと比較して染色体異常の頻度の驚くべき増加が見られた。無動原体の頻度は二動原体の約2倍である。染色分体切断は一居住地を除いて、コントロールと大幅には異ならない。
染色体異常の頻度は、物理的およびモデル化技法によって計算された吸収線量が誘発したものとしては高すぎる。現時点では、計算された吸収線量と測定された生物学的効果との間における不一致(約100倍)の原因は解明されていない。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/0165121889900578
タイトル: チェルノブイリ:機密の避けられない結末
著者: シュリャフタA., ウィルソン
典拠: Public Understand. Sci.、1251-259頁。
キーワード: ソ連、健康への影響
概要: チェルノブイリ事故とは、ソ連の原子力産業における粗悪な設計、不良管理および粗雑なコミュニケーション実態の組み合わせが招いた必然的結果といえる。我々は、事故の原因、ソビエト社会に与えた影響、および周辺地域の住民の健康への影響について見直した。その結果、ソ連にはびこっていた機密が技術安全と公衆衛生双方に深刻な負の影響を与えたことが明らかになった。
URL: http://www.broadinstitute.org/~ilya/alex/92a_chernobyl_secrecy.pdf
タイトル:チェルノブイリ報道における核バッシング:事実かフィクションか?
著者:フリードマンS. M.他
典拠:ジャーナリズム・マスコミュニケーション教育協会年次総会の発表原稿(第72回、ワシントンDC、1989年8月10-13日)
キーワード:テレビ放送、ニュース、核エネルギー、メディア報道、ソ連
概要:原子力報道について批評家たちは、メディアが原子力事故の重要性を過度に強調し、公衆の恐怖を助長し、原子力とリスクへの一般的理解に重要な情報を除外していると批判した。記者や編集者たちの間に反核のバイアスがあると感じている者もいる。チェルノブイリ事故報道の初めの2週間において、そのような批判が当てはまるか検証するための調査を行った。「ニューヨーク・タイムス」「ワシントン・ポスト」「フィラデルフィア・インクワイアラー」「ウォールストリート・ジャーナル」「アレンタウン(ペンシルバニア)」「モーニング・コール」および CBS、NBC、ABCの夜のニュースの報道を分析した。その結果以下のことが明らかとなった。(1)重苦しい事故報道の反面、他諸国における安全記録、事故の歴史、そして核産業の現状の情報を扱っていたのは、新聞およびネットワーク報道のうちわずか25パーセント(しばしばさらに少なかった)だった。(2)そのような情報がニュース報道の基盤となるにも拘らず、国民における核理解を向上させるような、あるいはチェルノブイリ事故の位置づけを明らかにするような情報の提供が不十分だった。(3) 記事とニュース番組においては核支持と反核の意見がバランスよく配置され、恐怖を引き起こすネガティブな情報が過剰に含まれるということはなかった。こうしたことは、これらの新聞やネットワーク報道が核産業や一般的な原子力発電の批判あるい「バッシング」にこの事故を利用していなかったことを示している。(4つの表と20の注を含む)
URL:http://www.eric.ed.gov/ERICWebPortal/search/detailmini.jsp?_nfpb=true&_&ERICExtSearch_SearchValue_0=ED309443&ERICExtSearch_SearchType_0=no&accno=ED309443
タイトル:米国、ソ連、フィンランドにおけるチェルノブイリの新聞報道の記号論的分析
著者:カウフマンR., ブロムスH.
典拠:Semiotica、70巻、1‐2号、27‐48頁、2009年10月。
doi: 10.1515/semi.1988.70.1-2.27
キーワード:ニュース、マスコミ報道、米国、ソ連、フィンランド
概要:他の災害とは違って、チェルノブイリは世界の国民の心に浸透した。火山、株式市場の暴落、はたまた学生の暴動以上の、唯一戦争に次ぐほどのマスコミ報道がチェルノブイリについてなされた。戦争・平和センターおよびニュースメディアの共同ディレクターとして、「原子力事故は…特異なニュース事件である。この短い核戦争に比するものは何もない」という言葉を引用した。米国、ソ連およびフィンランドの新聞社はそれぞれ異なる方法でチェルノブイリ事故の特異性に迫った。米国とソ連のニュース報道が悲劇的原子力事故における何が本質的な問題かという視点を失っていたが、フィンランドのニュース報道は一石を投じ続け、事実の報道を目指した。
URL:http://www.degruyter.com/view/j/semi.1988.70.issue-1-2/semi.1988.70.1-2.27/semi.1988.70.1-2.27.xml
タイトル:チェルノブイリ原子力事故から25年後のソ連英雄神話との和解:Aleksandr Mindadzeの実存的アクション映画「イノセント・サタデー」の解釈
著者:リンドブラッドJ.
典拠: The Anthropology of East Europe Review、30巻、1号、2012年。
キーワード:ロシア、ウクライナ、ソ連、映画、反応、チェルノブイリ」、原発事故、Mindadze、イノセント・サタデー、英雄神話、実存主義、バフチン、存在の非アリバイ
概要:本論では、チェルノブイリ原発事故から丁度25年後に公開れた、ロシア人ディレクターAlexandr Mindadzeの長編映画「イノセント・サタデー」の分析を行う。ロシア語話者と非ロシア語話者のこの映画に対する反応の比較研究においては、チェルノブイリを「壮大な」歴史的、技術的事故としてではなく、それが人々の心と感情にいかに影響を与えたかという哲学的観点がロシア人の反応において主要なテーマとなっていたのに対して、非ロシア語話者の反応においては程度の差はあれ欠如していたことを明らかにした。こうした反応の分裂を踏まえ、さらにこの作品の解釈学的分析においてはソ連英雄のテーマを探求した。結論としては、Mindadze氏は「逃げない」ヒーローを描きつつ、「あなた自身からの逃避」の実存的不可能性を提示したのであり、こうしてアクション映画の定石のみならず、旧ソ連でいまだ政治的に激しい議論の対象となっているソ連英雄神話に異議を投げかけたのである。
URL:http://scholarworks.iu.edu/journals/index.php/aeer/article/view/2002/1965