胎児期にチェルノブイリ原子力発電所の放射線により被ばくしたベラルーシのこどもの精神発達
タイトル:胎児期にチェルノブイリ原子力発電所の放射線により被ばくしたベラルーシのこどもの精神発達
著者:コロミンスキーY., イグムノフS., ドロズドヴィッチV.
典拠:J Child Psychol Psychiatry、1999年2月、40(2)、299-305頁。
doi:10.1111/1469-7610.00444
キーワード:情緒障害、特定の学習障害、出生前、放射線、社会的要因、教育
概要:本研究では、1986年チェルノブイリ事故の際に出生前放射線被ばくを被った6-7歳および10-11歳の138名の子どもたちの精神発達について検証した。これらの子どもたちを、ベラルーシの非汚染地域の同年齢の122名の子どもたちから成る統制群と比較した。この検査には、神経学的および精神医学的検査、知的評価、両親の臨床心理学的研究、および子宮内甲状腺被ばくの評価も含まれている。統制群と比較すると、被ばくグループにおいては心理的障害の相対的増加が明らかに見られ、特定の言語発達障害(6-7歳:18.1%対8.2%、 10-11歳:10.1%対3.3%)そして情動障害(6-7歳:20.3%対7.4%、 10-11歳:18.1%対7.4%)の有病率が高かった。被ばくグループの平均IQは統制群のそれより低く、境界域IQ(IQ = 70-79)がより多く見られた(6-7歳:15.9%対5.7%、 10-11歳:10.1%対3.3%)。子宮内被ばくした子どもたちのヨウ素1310.4Gyの甲状腺線量の平均値を計算した。6-7歳および10-11歳児の個々の甲状腺線量とIQの間に相関関係は見られなかった。子どものIQとその親の教育レベルの間には一定の相関関係が積極的に認められた。両親における高い個人的不安と子供の情緒障害の間には一定の相関関係があった。結論としては、親の低い教育レベル、汚染地域からの避難や移転後に生じたミクロ社会的コンタクトの破たんや順応困難といった望ましくない社会的心理的、社会文化的要因が、被ばくした子どもたちのグループにおける境界的知的機能の発生、特定の言語発達障害、言語および学力スキル、そして情緒障害において重要な役割を果たしているといえる。
URL:http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/1469-7610.00444/abstract;jsessionid=C471A830E8A31F0CA0296DFA675419F3.d01t02
コメント