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チェルノブイリ事故の心理的影響に関する25年間の遡及的検討

タイトル:チェルノブイリ事故の心理的影響に関する25年間の遡及的検討

著者:ブロメットE. J., ハーフナーJ. M., グエイL. T.

典拠:Clinical Oncology(王立放射線科医カレッジ(英国))、2011年、23(4)、297-305頁。

DOI: 10.1016/j.clon.2011.01.501

キーワード:心理的影響、精神衛生

概要:チェルノブイリ原子力発電所災害20周年のチェルノブイリ・フォーラム報告によれば、精神的衛生への被害が事故における最も深刻な公衆衛生上の影響であった。本報告では、災害開始後25年間における事故の心理的影響に関する研究の更新された結果を提供する。放射線への最大の曝露を被ったのは初期のレスポンダーと清掃労働者だった。近年の調査によれば、彼らのうつ病や心的外傷後ストレス障害の割合は20年後においても上昇したままであった。爆発時に施設の傍にいた、もしくは深刻に汚染された地域に数年間住んでいた非常に幼い子どもおよび胎児が多くの研究の対象となったが、調査結果は矛盾している。キエフ、ノルウェー、フィンランドで実施された胎内で被ばくした子どもに関する最近の研究では、放射線被ばくに関わる特定の神経心理学的および心理的障害が指摘されたが、他の研究では被ばくした子どもたちにおける有意な認知的もしくは精神的な健康被害は認められていない。一般的な住民調査では、臨床的および無症状のうつ病、不安、および心的外傷後ストレス障害と共に、否定的な自己健康診断の増加が報告されている。被ばくした子どもたちの母親は、家族の健康への悪影響についての心配が長引いていることによってこれらの症状のハイリスク・グループに属している。このように長期に渡る精神衛生上の影響が懸念され続けている。被害地域における未だ満たされていない精神衛生面における必要事項が、25年後における重要な公衆衛生上の課題となっている。今後は、病像を完成するために、物理的および精神的健康のアウトカム指標を統合するような研究が必要である。

URL:http://europepmc.org/abstract/MED/21330117

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