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第8章 放射線誘発発がんのメカニズム:甲状腺モデル

タイトル:第8章 放射線誘発発がんのメカニズム:甲状腺モデル

著者:ニキフォロフY. E., フェイギンJ. A.

典拠:分子細胞内分泌学の進歩、2、169-196頁、1998年1月。

デジタルオブジェクト識別子:10.1016/S1569-2566(98)80016-1

キーワード:放射線の生物学的影響、乳頭がん、子どもたち

概要:放射線の生物学的影響に関する現在の情報に基づくと、被ばくした子どもたちにおいて乳頭がんが発生するという遺伝的事象とはつまるところ、発癌配列(すなわちret/PTC)に対するDNA損傷によるか、影響を受けた細胞のゲノムが原因不明のメカニズムによって不安定化して起こった末の事象といえる。チェルノブイリにおける放射線誘発性乳頭腫は特定の「署名」をもった遺伝的特徴、すなわち有病率の高いRET/ PTC再配列の特定の形態を持つことが現在では明らかとなっている。これによって、甲状腺細胞における放射線によって誘発されたDNA損傷に関する将来的研究の終着点の目途が立ったといえ、これらの腫瘍の成り立ちについてよりターゲットを絞った仮説を立てることが可能になったといえよう。甲状腺への被ばくは吸収された短命放射性ヨウ素による内部放射線に、より少ない程度に、ガンマ線の貫通に起因する。甲状腺がんの出現が記録されたのは被ばく後10年のことで、被爆した250名の間で34年間行われた注意深いモニタリングにおいて甲状腺乳頭がんが7例、濾胞性甲状腺がんが1例、潜在性甲状腺がんが7例報告された。

URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1569256698800161

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