電離放射線被ばくによる甲状腺腫瘍におけるRETがん原遺伝子の発がん性再編成
タイトル:電離放射線被ばくによる甲状腺腫瘍におけるRETがん原遺伝子の発がん性再編成
著者:バウネサーA., ウィッカーR., シュルンベルジェM., サラシンA., スアレスH.G.
典拠:生化学、79(9-10)、619-623頁、1997年10月。
デジタルオブジェクト識別子:10.1016/S0300-9084(97)82012-3
キーワード:放射線関連甲状腺腫瘍、RETがん原遺伝子、再編成活性化、RET/ PTCがん遺伝子
概要:チェルノブイリの甲状腺乳頭がん(PTC)におけるRET再編成の高い頻度(≃ 60%)が最近報告されている。このデータが示唆しているのは、放射線被ばくがRET遺伝子における再配列活性化を直接誘導しているということである。本研究では、 RT-PCR、XL-PCR、サザンブロットおよび直接配列決定技術、良性または悪性腫瘍で外部放射線を受けていた患者39名の甲状腺腫瘍を使って、RET/ PTCがん遺伝子の存在を分析した。コントロールグループとして39の「自然発生的」腫瘍を検討した。得られた結果によって分かったのは、1)RET再配列の全体的な頻度は乳頭がんにおいては84%、濾胞腺腫においては45%であった。2)チェルノブイリの腫瘍において見られた結果とは対照的に、最も頻繁に観察されたキメラ遺伝子はRET/ PTC1であった。3)すべての腫瘍はRET/ PTC2陰性であった。「自然発生的」腫瘍においては、乳頭がんのみがはRET転位を見せた(15%)。我々のデータによって、放射線関連甲状腺腫瘍発達におけるRETがん原遺伝子活性化の再構成が果たす重要な役割が確認され、また濾胞腺腫におけるRET/ PTC遺伝子の存在が外部照射後に出現することが初めて示された。
URL: http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0300908497820123
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