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チェルノブイリ近隣からの移住者の放射線生物学的評価

タイトル:チェルノブイリ近隣からの移住者の放射線生物学的評価

著者:リビングストンG. K., イェンセンR. H., シルバーシュテインE. B., ハイネフェルドJ. D., プラットG., ビグビーW. L., ラングロワR. G., グラントS. G., シュクラR.

典拠:Int J Radiat Biol、1997年、72、703-713頁。

doi:10.1080/095530097142861

キーワード:

概要:1986年の事故時にチェルノブイリから100-200kmの4地点(キエフ、マズィル、ゴメリ、バブルイスク)に住んでいた80名(55名の成人、25名の子ども)を、1989‐1991年の米国への移住後に調査した。放射性セシウムの含有量を定量するために全身カウンタを使用した。さらに放射線影響の2つの生物学的測定、すなわち小核試験による染色体インテグリティおよびグリコホリンA(GPA) 座の赤血球の体細胞変異解析をこのグループに適用した。体内の放射性セシウムの放射能は0~56.8Bq/kgの範囲で、平均および標準偏差は5.0 8.2、中央値は2.0Bq/kgであった。グループの放射性セシウム含有量の平均値が最も高かったのは成人男性(9.0 11.7; 範囲0.21-56.8Bq/kg)で、次に成人女性 (3.3 4.5; 範囲0-21.3 Bq/kg)、男児(3.0 5.7; 範囲0-20.2 Bq/kg)と続き、最も低いのは女児(1.6 3.5; 範囲0-12.7 Bq/kg)であった。各グループ内で最も高い放射性セシウムの含有量を有する者は、1989年の移住までマズィル(チェルノブイリから100km)に住んでいた一家族に属していた。リンパ球の小核頻度と赤血球GPAの遺伝子座欠失(O/N)の体細胞変異は共に放射性セシウム含有量と大いに相関していた(それぞれr 0.57, p 0.002; r 0.75, p 0.002)。この数値が当てはまる(r 0.71, p 0.0005)20名の移民からなるサブセット内においては、小核頻度も放射性セシウムからの推定内部吸収線量と相関していた。つまり、バイオモニタリングのデータが示していたのは、一部の被験者が血液細胞中の遺伝子および染色体変異を生成するのに十分な放射線量を有していたが、それらの効果は放射性セシウムへの曝露のみに帰することはできないということである。

URL:http://informahealthcare.com/doi/abs/10.1080/095530097142861

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