カテゴリー「生態・環境」
タイトル:テメリン原子力発電所からヴルタヴァ川(チェコ共和国)への放射性核種放電のモニタリングと評価
著者:ハンスリクE., イヴァノヴォヴァD., ユラノヴァE., シモネクP., イェディナコヴァ・クリゾヴァV.
典拠:環境放射能ジャーナル、100巻、2号、131‐138頁(8頁)、2009年2月。
デジタルオブジェクト識別子:http://dx.doi.org/10.1016/j.jenvrad.2008.11.001
キーワード:トリチウム、アクティベーションと核分裂生成物、放射性廃水、表面水、土砂、環境半減期、生物学的半減期
概要:本論はヴルタヴァ川とラベ川の流域におけるテメリン原子力発電所(NPP)の影響をまとめたものである。本研究はプラント運転前(1989–2000年)、その後のプラント運転中(2001-2005年)に実施された長期モニタリングの結果に基づいている。第1期の主要な目的は、チェルノブイリ事故によるグローバルフォールアウト後に環境に残ったバックグラウンドの放射性核種レベルを測定することであった。プラント運転前に観察されたストロンチウム90、セシウム134、セシウム137との濃度の減少はその後の期間中も続いた。トリチウム以外には、観測の結果、プラントの水圏における活性化と核分裂生成物の濃度に対する影響はまったく見られなかった。ヴルタヴァ川の年間平均トリチウム濃度は予測値と一致していた。最高の年間平均トリチウム濃度 (13.5 Bq L−1)は、2004年にヴルタヴァ川の廃水排出の下流のソレニツェで観測された。トリチウムで汚染された飲料水用の河川水の摂取による成人の推定放射線量は0.1 μSv y −1以下である。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X08001963
タイトル:チェルノブイリの最大汚染地域のキクビアカネズミ個体群における変動の非対称性の高レベル
著者:オレクシクT. K., ノヴァクJ. M., パデューJ. R., ガスチャクS. P., スミスM. H.
典拠:環境放射能ジャーナル、73巻、1号、1-20頁、2004年3月。
デジタルオブジェクト識別子:http://dx.doi.org/10.1016/j.jenvrad.2003.07.001
キーワード:放射性セシウム、セシウム137、キクビアカネズミ、チェルノブイリ、大きさ、形状、変動の非対称性、方向性非対称性、幾何学的形態計測
概要:与えられた遺伝子型を有する個体の通常の左右対称性の完全な対称性からのランダム偏差は、複数の環境要因の影響によって個々の発達中に生じる。変動非対称(FA)は発育不安定性の尺度としてしばしば使用され、左側と右側の間の差の分布の相違として見積もられる。我々は、チェルノブイリ周辺に生息している放射能汚染された集団におけるFAのレベルが、キクビアカネズミ(Apodemus flavicollis)の参照集団のそれと比較して上昇したか否かという問題に取り組んだ。さらに、平均において一辺が他よりも大きい場合の指向非対称(DA)の量を調査した。FAおよびDA共に量においては、参照集団を含む集団間で有意差があった。FAのより高いレベルは大きさと形状の非対称性の両方で、障害が発生したチェルノブイリ原子炉周辺で汚染された集団において記録された。大きさと形状のFAはチェルノブイリの立入禁止区域の中で最も汚染された場所の集団で最も高かった。形状の方向性非対称性は汚染された集団も最も高かったが、ほとんどの参照集団のそれと有意に異ならなかった。チェルノブイリ立入禁止区域のより少ない汚染地域からの集団は、影響を受けた地域外の参照集団とは異なるFA値を表さなかった。キクビアカネズミの頭蓋骨のFAは、放射能汚染のレベルがチェルノブイリの動物の発達に影響を与える程度を示している可能性がある。しかし、これらの効果を導くメカニズムははっきりせず、おそらくは集団によってさまざまである。プロクラステス整列形状構成の全体的な右から左へ違い、重心のサイズ、そして筋肉内セシウム137の間には有意な相関があった。放射線の発達安定性に対する検出可能な効果は0.132~0.297 μGy/hの間で始まると考えられる。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X03002224
タイトル:北ロシアのATOMFLOTにおける放射性廃棄物処理プラントの排水口に隣接した海洋環境における放射能汚染
著者:ブラウンJ. E., ニキチンA., ヴァレトヴァN. K., チュミチェフV. B., カトリックI. Y., ベレジノイV. I., ペゴエフN. N., カバノフA. I., ピチュギンS. N., ヴォピヤシンY. Y., リンドB., グロッセイムS., シッケルM., ストランドP.
典拠:環境放射能ジャーナル、61巻、1号、111-31頁、2002年。
デジタルオブジェクト識別子:http://dx.doi.org/10.1016/S0265-931X(01)00121-7
キーワード:放射性核種、海、コラ湾、 ATOMFLOT
概要:RTP”ATOMFLOT”は北ロシアのコラ湾にある民生用原子力砕氷船基地である。本論の目的は、基地に隣接する海洋環境における人工放射性核種の分布を決定すること、堆積物中の分布の形を解明すること、そしてATOMFLOTから排出される放射性核種の行方に関する情報を提供することである。表層堆積物の平均放射能濃度(d.w.)は63 Bq kg−1137Cs, 5.8 Bq kg−190Srそして0.45 Bq kg−1239,240Puを測定した。濾過された海水の線量レベルは、3–6.9 Bq m−3137Cs、2.0–11.2 Bq m−390Sr、そして16–40 mBq m−3、239,240Puの範囲であった。短寿命放射性核種は高い混合率を示す10cmの深さの堆積物において過剰に存在していた。放射性核種の放射能濃度と結晶粒径の相関は存在しないと考えられ、代わりに、比較的汚染された堆積物の存在は放射性粒子の存在に関連していると考えられる。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X01001217
タイトル:メラニン化したクリプトコックス·ネオフォルマンスの致死量のガンマ線照射からの保護はメラニンの化学構造と常磁性の変化を伴う
著者:カオA., ブリャンR. A., フリードマンM., バーガーR. M., レヴィツキY., カサデヴァルA., マグリオッゾR. S., ダダチョヴァE.
典拠:PLOS ONE、6巻、9号、1-8頁、2011年。
デジタルオブジェクト識別子:10.1371/journal.pone.0025092.
キーワード:*クリプトコックス·ネオフォルマンス、メラニン、化学構造、常磁性、水酸基、細菌細胞、真菌細菌の関係
概要:ある種の菌類はかつてのチェルノブイリ原子力といった高放射能環境において繁栄する。メラニンを作るのにL-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-ドーパ)用いるクリプトコックス·ネオフォルマンスが、水性の好気的条件下でガンマ線がメラニンの特性にいかに影響するかを調査するために、その放射線防護役割をに洞察する目的で使用された。水性懸濁液における50~80%の細胞を殺傷する能力のあるガンマ放射線量に対するメラニン化した真菌への曝露は、メラニンラジカルのEPRスペクトルに応じたメラニンの整合性の検出可能な喪失を導かなかった。さらに、メラニン記した細胞の紫外可視(Xeランプ)照明の際に、ラジカル群の増加はガンマ線照射後に変化しなかった。しかし77 Kにおける数日間にわたる凍結細胞懸濁液のガンマ線照射とサンプルの凍結は、ラジカル群減少と光応答減少によって示されたメラニン修正を生んだ。メラニンの構造的な変化のより直接的な証拠としては、細胞および無細胞メラニンのガンマ線照射後に収集された上清中最大260 nm近く吸光度を持つ可溶性産物の検出によって得られた。チオバルビツール酸(TBA)―反応性アルデヒドを含む生成物は細胞および無細胞メラニンのフェントン試薬処理によって生成された。細胞(Bi+3) の結合能力金属に基づくメラニンの完全性のアッセイにおいて、結合における検出可能な損失はガンマ線照射後に検出されなかった。これらの結果、C.ネオフォルマンス細胞におけるメラニンは致死的放射性水性環境中で形成されたヒドロキシラジカルによって多少損傷を受けやすく、犠牲損壊を伴うメラニン真菌における保護的役割を提供していることが分かった。
URL:http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0025092
タイトル:菌類および放射性核種からの電離放射線
著者:ダイトンJ., トゥガイT., ジダノヴァN.
典拠:FEMSマイクロバイオロジーレターズ、281号、2号、109‐120頁(12頁)、1、2008年4月。
デジタルオブジェクト識別子:10.1111/j.1574-6968.2008.01076.x
キーワード:メラニン、マイクロ菌類、菌根、放射線適応的特性、放射性核種、修復
概要:環境中の放射性核種は人間の健康と生態毒性にとって主要な関心事の一つである。チェルノブイリ原子力発電所の爆発により、生態系において放射性核種の移動を媒介する真菌が果たす役割への関心が新たになった。これらの調査の結果、特にその菌根というスタイル、放射性核種の長期蓄積、その宿生植物による植物連鎖への転送および蓄積の調整といった、菌類の重要性に関する知識が増加した。チェルノブイリ原発内および周辺から隔離された菌類で、微小菌類は電離放射線へのばく露に対して非常に強いことが分かった。ある種の真菌種の放射線抵抗性はメラニンの存在に関連しており、メラニンが代謝エネルギーの輸送体として作用する新たな特性を有することが示され、菌糸の成長促進に関与し、放射線源に対して敏感な菌糸の成長を調整していることが分かった。最新のこれらの知識を用いれば、放射性汚染サイトのバイオレメディエーションおよび産業排水の浄化における真菌の有用性を示すことができよう。
URL:http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1574-6968.2008.01076.x/full
タイトル:トルコ北東のギレスン県で採集された地衣類サンプルにおけるセシウム137とカリウム40の放射能濃度測定と元素分析
著者:チェリクN., チェヴィクU., チェリクA., コズB.
典拠:環境同位体&健康研究、44巻、3号、315-323頁(9頁)、3、2008年9月。
デジタルオブジェクト識別子:10.1080/10256010802310077
キーワード:セシウム137、元素分析、地衣類、自然放射能、ポタシウム40、トルコ
概要:チェルノブイリ事故から約21年後、ガンマ線分光法によるセシウム137とカリウム40の放射能濃度測定とエネルギー分散型X線分光法による元素分析が、トルコ北東のギレスン県で採集された5つの異なる地衣類について行われた。藻類と菌類の共生である地衣類が環境測定のために主に使用されるのは、菌類の仲間は必要な栄養素もしくは放射性核種の重金属といった有害物質でも主体的に取り込むためである。ガンマ放射線の結果、チェルノブイリ原発事故によって放出された人工的放射性核種であるセシウム137がいまだにこの県の環境中の要素であることが分かった。セシウム137とカリウム40の平均放射能濃度は、乾燥重量で24~254(平均値102Bqkg −1)、および345~2103(平均値1143Bqkg −1)の範囲だった。元素分析の結果、ポタシウム、カルシウム、チタン、鉄、錫、バリウムが異なる濃度で見られた。
URL:http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/10256010802310077
タイトル:チェコ共和国テメリン原子力発電所の影響を受けた水圏における放射性核種濃度
著者:ハンスリクE., イヴァノヴァD., イエディナコヴァ・クリゾヴァV., ユラノヴァE., シモネクP.
典拠:環境放射能ジャーナル、100巻、7号、558-563頁、2009年7月。
デジタルオブジェクト識別子:10.1016/j.jenvrad.2009.03.020.
キーワード:アクティベーションと核分裂生成物、放射性廃水、堆積物、表面水、テメリン原子力発電所、トリチウム
概要:本論では、ヴルタヴァ川およびエルベ川に対するテメリン原子力発電所の想定される影響に関する長期的現地調査の結果を示した。調査は原子力発電所稼働前後の2段階に分けられた。稼働前(1989‐2000年)の調査の主目的は、核兵器試験とチェルノブイリ事故による放射性核種の環境の異なる要素にとってのバックグラウンドレベルを決定することであった。本論はまた、テメリン原子力発電所からの排水中のトリチウム放電による河川の放射能汚染の危険性についても取り上げている。2001-2006年の稼働期間には、モニタリングの結果、トリチウムを除き、水圏におけるあ放射能と核分裂生成物の濃度に対するテメリン原発の影響は検出されなかった。ヴルタヴァ川の年間平均トリチウム濃度は以前に平均および最低保証流出条件のために見積もられた予測と一致している。プラハでのヴルタヴァ川におけるトリチウムの最大濃度26.6 Bq/lは2003年の乾期後に観察された。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X0900071X
タイトル:チェルノブイリの放射性降下物で調査された超ウラン元素の堆積指標としての地衣類(アカミゴケ類)
著者:パーテロJ., ヤーコラT., クルマラS.
典拠:環境放射能ジャーナル、38(2)、223-247頁、1998年1月。
デジタルオブジェクト識別子:10.1016/S0265-931X(97)00024-6
キーワード:プルトニウム、地衣類(コケ類)、チェルノブイリの放射性降下物
概要:超ウラン元素の堆積の尺度として絨毯状の地衣類(アカゴケ類)を使用するフィージビリティをチェルノブイリの放射性降下物で調査した。フィンランドでは、事故後のこれらの元素の堆積はきわめて不均一であった。プルトニウム238、プルトニウム239/240、アメリシウム241、キュリウム242、キュリウム243/244の最高堆積値はそれぞれ、5.7、3.0、1.3、98および0.025Bq m −2であった。しかしプルトニウム239/240の堆積総量は、1950年代および1960年代における核実験の爆発によ放射性降下物のわずか数パーセントだった。その代わり、その兵器テストの間に環境中に実際に放出されたキュリウム242は無かった。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X97000246
タイトル:チェルノブイリ事故から20年間のはちみつにおけるセシウム137濃度の長期的低下
著者:パネットD., ガスパリーニR., ライP., ロヴァッチP., ガレッリG.
典拠:全体環境科学、382(1)、147-152頁、2007年8月。
デジタルオブジェクト識別子:10.1016/j.scitotenv.2007.03.040
キーワード:セシウム137、長期的低下、はちみつ
概要:2001年~2004年においてセシウム137の放射能が、北イタリアのリグーリア州地域で収穫された異なるはちみつの品種336のサンプルの合計において調査された。その目的は以下の項目を定義づけることである。すなわち(a)チェルノブイリ事故後の残留放射能汚染およびセシウム137の長期的下落、(b)セシウム137の放射能と異なるはちみつ品種との相関関係、そして(c)セシウム137の放射能および収穫地域の一般的地形構成との間の相関関係である。平均セシウム137の比放射能は4.33 ± 5.04 S.D. Bq/kgだった。栗のはちみつは放射能汚染の高いレベルを示したが、それは木の大規模で表面的かつ深い地中器官に起因する。堆積した放射性核種を保留し、植物にそれらを徐々に放出する酸性粘土岩の土壌からのはちみつサンプルもまた高いセシウム137の放射能を示した。長期的低下は456日を数え、事故後の数年間に別の食料源において公表されたものよりも低い値を示した。長期的低下率は時間とともに減少している。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0048969707004044
タイトル:チェルノブイリの西および北のプルームにおける近接場放射性粒子ダイナミクスと放射性降下物の経験的パターン
著者:チェッサーR. K., ロジャースB. E.
典拠:大気環境、42(20)、5124-5139頁、2008年6月。
デジタルオブジェクト識別子:10.1016/j.atmosenv.2008.02.042
キーワード:核燃料、チェルノブイリ、プルーム、粒子、放射線、沈降
概要:我々は、粒子分散の予測をモデル化し粒子サイズ、近接場(直径40ミクロン)の風速、および上下左右の乱流の影響を推定するため、参照されたガンマおよびベータ放射線のグラウンド基準に基づく測定を地理的に比較した。これらのこれらの大きな粒子によって、遠隔の北部プルーム中のすような汚染源としての揮発性元素の酸化された核燃料とエアロゾルのリリースの受動的分散がなくなる。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1352231008001362