タグ「小児」
タイトル:チェルノブイリ事故後のロシアにおける甲状腺がんの発生率のダイナミクス:生態学的・疫学的解析
著者:イヴァノフV. K., ツィプA. F., ゴルスキA. I., マクショウトフM. A.
典拠:科学論文、[PDF-172K]、2001年4月。
キーワード:
概要:本稿では、チェルノブイリ事故後最も深刻に汚染されたロシアの諸地域における甲状腺がん発生率の解析について取り上げた。ブリャンスク、カルーガ、オリョール、トゥーラ州(5,2998名)の発生率データを使用した。発生率に関する情報は地域の腫瘍専学診療所(悪性新生物の診断と治療に関わる州保健機関)から得た。全体的に、甲状腺がんの2599例は1982年から1995年のものと考えられる。そのうち62例は小児および青年におけるもので、143例は1986年の事故時に小児および青年だった集団におけるものだった。調査は男女双方に対して実施された。調査では、診断時の年齢と被ばく時の年齢によって甲状腺がんの分布を比較しる。1991年以来発生率の年齢構成は、小児および青年における症例の割合増加で大幅に変化した。構造の変化は、放射線の要因によって、具体的には取り込まれたヨウ素131による甲状腺の被ばくの結果として発生した。被ばく時年齢へのがんリスクの依存性が導かれた。被ばく時に0-4歳だった子どもの放射性甲状腺癌の誘発の危険性は成人よりも6-10倍高い。平均して、被ばく時の小児および青年におけるリスク係数は大人に比べて約3倍である。甲状腺がんの発生率のタイムトレンドの分析によれば、25歳までの年齢グループにおいて1991年から1995年の間に観察された発生率は、近い将来においても維持されると考えられる。
URL:http://users.physics.harvard.edu/~wilson/radiation/rr11-12/chapter1.pdf
タイトル:チェルノブイリで被ばくした子どもの血漿中における染色体異常誘発因子
著者:エメリットI., クアステルM., ゴールドスミスJ., マーキンL., レヴィA., チェルニャフスキL., アラウイ・ユスフィA., (…) リクリスE.
典拠:変異研究/変異誘発の基本と分子機構、373(1)、47-54頁、1997年1月。
デジタルオブジェクト識別子:10.1016/S0027-5107(96)00187-X
キーワード:チェルノブイリ、染色体異常誘発因子
概要:染色体異常誘発因子(CFs)は、原爆被爆者やチェルノブイリ原子力発電所のリクビダートル中の、事故あるいは治療で照射を受けた人々において見られたが、チェルノブイリで被ばくした子どもたちのの血漿中でも検出された。1990年にイスラエルに移住した170名の子どもたちから得たプラズマ限外ろ過液の高い割合が、健康なドナーからの血液を使用して設定した試験培養において染色体異常誘発効果を発揮した。それは、旧ソ連の「クリーン」な都市から移住した子どもたち、またはイスラエル生まれの子どもたちと比較すると、極めて有意に異なっていた。CF陽性の子どもたちの割合と調整された染色体異常スコア(ACS)の平均値は、キエフから来た子どもたちに比べると、高度に被ばくを受けた地点である(IAEAの測定による)ゴメリおよびマズィルから来た子どもたちが高かった。残留したセシウム137び体内負荷とCFsの存在との間に相関は認められなかった。しかし、双方の測定は同時に行われていなかった(それぞれ1990年および1992‐1994年)。また、甲状腺の肥大とCF陽性の間には関係は一切見られなかった。CFsは被ばく後にのみならず、自己免疫反応を伴う様々な慢性炎症性疾患でも見られる。ヒトにおいて最も高い癌発生率を伴う遺伝性疾患である先天性破損症候群においても見られる。CFsの循環によって継続的に生じた染色体異常誘発効果は悪性の晩期障害の危険因子を表しており、さらなる研究と追跡調査に値しよう。CF形成およびCF作用がスーパーオキシドラジカルによって媒介されるため、プラズマが強い陽性CFテストを引き起こすチェルノブイリで被ばくした子どもたちに対しては、酸化防止剤による予防治療が提案される可能性がある。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S002751079600187X
タイトル:ヨーロッパにおける子どもと青年のがん:20年にわたる発展と将来への挑戦
著者:プリチャード·ジョーンズK., カッチェP., ステリアロヴァ・フーシェE., スティラーC. A., コーベルクJ.W.W.
典拠:ヨーロッパがんジャーナル、42(13)、2183-2190頁、2006年9月。
デジタルオブジェクト識別子:10.1016/j.ejca.2006.06.006
キーワード:がん、子ども、青年、ヨーロッパ、レジストリ。データ品質。公衆衛生
概要:本特集には、1978-1997年の期間に渡るヨーロッパにおける小児および青年の間のがんの発生率と生存の集団ベース分析を取り上げた18の論文が掲載されている。それらの分析は、ヨーロッパの19の国々における62の集団ベースのがん登録の共同作業によって設立されたACCIS(小児がん自動化情報システム)プロジェクトの大規模なデータベースから導かれたものである。8万8,465人の子ども、および1万5,369人の青年(15-19歳)のがんのデータが各種の分析に含まれ、年代別グループにおけるがんに関する世界最大のデータベースを作っている。国家的データが、全てのがんの腫瘍タイプによる発生率と生存率について、双方の経時的傾向も含め、比較を可能にするためにヨーロッパの5つの地域に分類されている。本概論では複数の登録データの比較に焦点が当てられ、その潜在的な交絡因子が取り上げられている。子どもと青年における、全てではないが、多くのがんの年齢標準化された年間発生率がはっきりと示されている。大部分の腫瘍タイプの生存率には地理的な違いがある。子どもおよび青年においてほとんど全てのタイプのがんの生存率が増加している。子どもと青年のがんの病因と治療手当に関するこれらの発見が持つ意味について論じられている。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0959804906004850
タイトル:チェルノブイリ後の放射線誘発甲状腺癌の臨床経験
著者:ライナーズC.
典拠:遺伝子、ISSN 2073-4425、http://scirus.com/srsapp/sciruslink?src=web&url=http%3A%2F%2Fwww.mdpi.com%2F2073-4425%2F2%2F2%2F374%2Fpdf、[PDF-268K]、2011年5月。
キーワード:チェルノブイリ、子ども、甲状腺がん、進行した段階、治療、予後
概要:甲状腺がんを発症するリスクは外部または内部の放射線被ばく後、特に10歳未満の子どもたちにおいて、著しく増加する。チェルノブイリ原子炉事故後、ベラルーシの小児期の甲状腺がんの年間発生率は、事故前には100万人中約0.5人だったのに対して、女子100万人中約40人、男子100万人中約20人にまで増えた。一般的に、放射線被ばく後の甲状腺がんの子どもたちの約95%に乳頭がんが、約50%に甲状腺カプセル外に成長している浸潤性腫瘍が、約65%に節転移リンパが、約15%に遠隔転移が見られた。1993年4月に始まった、手術と放射性ヨウ素治療を併用するベラルーシ・ドイツ協力プロジェクトは、チェルノブイリの放射性降下物に被ばくし、進行した段階の甲状腺がんを患うベラルーシの子どもたち237人の子どもたちで組織された。研究グループには141人の女子と96人の男子が入った。事故時の彼らの平均年齢は1.7歳で、診断時の平均年齢は12.4歳だった。濾胞組織学の2例を除き、大多数の患者は甲状腺乳頭がんと診断された。63%は、腫瘍は甲状腺カプセルの外に成長し、首の組織に侵入していた(pT4)。対照となったほぼ全てのケース(96%)でリンパ節転移(pN1) が見られ、患者の43%で主に肺への遠隔転移(pM1)が見られた。58%の子どもたちにおいて、甲状腺癌の完全寛解は2010年12月31日までに達成され、34%において安定した部分寛解が、残りの8%では部分的寛解が見られた。チェルノブイリ原子炉事故の影響を受けた小児および青年において、放射線誘発甲状腺がんのリスクは大幅に増加した。青少年における甲状腺がんは高齢患者におけるよりも活動が活発であるという事実にも拘らず、甲状腺摘出、放射性ヨウ素治療と甲状腺ホルモン補充との併用治療の結果は優れたものだった。
URL:http://www.mdpi.com/2073-4425/2/2/374/pdf
タイトル:チェルノブイリ原発事故の生体医療効果についてのアメリカ、ベラルーシ、ウクライナ共同研究 ファイナルレポート
著者:ワッハホルツB.
典拠:その他の情報、PBD: 2000年6月20日。
デジタルオブジェクト識別子:10.2172/760446
キーワード:子ども、コホート、リクビダートル
概要:国立がん研究所は、チェルノブイリ事故によって放出された放射性ヨウ素の事故時に19歳以下だったコホート集団の甲状腺の構造および機能に対する影響を研究するための科学調査協定を結ぶ交渉を、ベラルーシとウクライナの政府(保健大臣、保健省、諸機関や科学者)と行ってきた。それらの研究には、コホートの将来の長期的な医学的フォローアップ、各コホート被験者の甲状腺の放射線量の再建も含まれている。ベラルーシにおける研究協定は1994年5月に米国とベラルーシの政府によって調印され、ウクライナにおける研究協定は1995年5月に米国とウクライナによって調印された。さらに、ウクライナ人のリクビダートルにおける白血病とリンパ腫の発症を追跡調査する長期研究の実施に向けた第二の科学調査協定に関してもウクライナと交渉が行われた。この協定は米国とウクライナによって1996年10月に調印された。
URL:http://www.osti.gov/bridge/product.biblio.jsp?query_id=2&page=0&osti_id=760446
タイトル:特徴 チェルノブイリ後の10年: 決定のための基盤 主要な国際会議においてチェルノブイリ事故の主な結果の科学的解釈を要約…
典拠:[PDF-838K]、2007年7月。
キーワード:子ども、診断
概要:影響を受けた地域における、1986年に子どもだった者たちにおける甲状腺がんの発生率の極めて顕著な増加は、チェルノブイリ事故に起因する放射線被ばくの公衆衛生に対する影響の明らかな証拠である(1991年には、国際チェルノブイリプロジェクトに関する報告書で以下のように明言された。「今後数十年で甲状腺がんの症例が爆発的に増加することが予測されている。このリスクは、事故後の数か月間で受けた甲状腺線量に関わっており…」*)。こうした発生率増加が観察されているのはベラルーシ、またより少ない割合でウクライナとロシア連邦においてである。1995年末まで報告された症例数は、診断当時に15歳以下だった子どもにおいて800件で、その400件以上がベラルーシにおいてであった。ほとんどの症例の診断が国際的な専門家によって確認されている。…
URL:http://www.iaea.org/Publications/Magazines/Bulletin/Bull383/38304781423.pdf
タイトル:チェルノブイリ:放射線と健康影響の評価─チェルノブイル2002年更新:この10年
典拠:経済協力開発原子力機関団体、[PDF-993K]、2008年7月。
キーワード:子ども
概要:チェルノブイリ事故の早期において、特に子どもに対して、放射性ヨウ素が甲状腺線量(Il90)の多くを占めており、ソ連当局は投与量を最小化するのみならず、可能な限り正確に甲状腺線量を記録するようあらゆる努力を払った。これらの測定と線量再評価の結果が示しているのは、集団内のいくつかのグループは甲状腺に高い線量を受けており、癌を含む甲状腺異常の増加が将来的に非常に現実的な可能性を持っているということである。これは特に汚染されたベレルーシ、ウクライナ北部およびロシアのブリャンスク州とカルーガ州の子どもたちに当てはまる。これらは無視できる甲状腺線量はなく、1986年初めには、甲状腺が、特に良性および悪性腫瘍の発生率の増加といった放射線の影響を最もよく示す標的器官になるであろうことが、ソ連の専門家たちによって予測されていた。
URL:http://www.energie-fakten.de/pdf/chernobyl-nea-oecd-2005.pdf
タイトル:ゴメリ州(ベラルーシ)の健康なおよび甲状腺腫瘍の影響を受けた子どもたちのリンパ球細胞における遺伝学的損傷
著者:ロベルトB., ゲミグナニF., モリッゾC., ロリA., ロッシA., アントネッリA., ディ・プレトロG., (…) バラルディンM.
典拠:変異研究/変異誘発の基本と分子機構、405(1)、89-95頁、1998年8月。
デジタルオブジェクト識別子:10.1016/S0027-5107(98)00118-3
キーワード:染色体異常、リンパ球、子ども、甲状腺腫瘍、電離放射線、セシウム137、チェルノブイリ
概要:1994年の間、チェルノブイリの放射性降下物によって最も汚染された地域の一つであるゴメリ州の腫瘍の影響を受けた19名の子どもたちと健康な17名の子どもたちを、(1)尿中のセシウム137の存在、(2)循環リンパ球における染色体異常(CA)について調査した。彼らをイタリアのピサの健康な35名の子どもたちと比較した。ゴメリ州の健康な統制群に比べ、腫瘍の影響を受けた子どもたちの尿中にはセシウム137が有意に高いレベル(p < 0.05)で見られた。ピサの統制群の尿中には放射能は全く見られなかった。ゴメリの統制群と比較して、腫瘍の影響を受けた子どもたちにおいてはCAの頻度が有意に高かったが、ゴメリの統制群とピサの統制群の間に有意な差は見られなかった。しかし二動原体染色体は、ピサの統制群( 細胞)に比べて、ゴメリの腫瘍の影響を受けた子どもたちおよび健康な子どもたちの双方において有意に高い比率(p < 0.01)で見られた。重回帰分析によって、非中心フラグメント、二動原体とリング染色体を持つ細胞の割合が、彼らの尿中に排泄されたセシウム137の量と有意に相関している(p < 0.05)ことが示された。これらの結果が示しているのは、ゴメリ州の子どもたちの放射性核種への被ばくがいまだ続いており、そのことによって線量効果関係の調査が可能となったということである。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0027510798001183
タイトル:子どもおよびとその母親に対する放射線被ばくリスク
著者:ペトロヴァA.
典拠:環境衛生百科、2011年1月。
ISBN:9780444522726
キーワード:子ども、母親、放射線、リスク
概要:子どもおよびその母親の健康に対する電離および非電離放射線の影響については実際問題として懸念されている。子どもや母親への放射線被ばくに関するリスクの大きさとタイプについて、そのような被ばくの健康影響を防止するために決定すべきである。発育期の生物は放射線により敏感であり、放射線誘発性病変の発達を受けやすい。集中的な細胞増殖、細胞分化、細胞移動を特徴とする生前発育は特に放射線被ばくに敏感である。…ヒトの疫学研究が示しているのは、ヨーロッパ諸国におけるチェルノブイリ原発事故以降の、死産傾向、先天性欠損症、甲状腺がんおよび乳児白血病の増加である。…
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/B9780444522726002129
タイトル:第8章 放射線誘発発がんのメカニズム:甲状腺モデル
著者:ニキフォロフY. E., フェイギンJ. A.
典拠:分子細胞内分泌学の進歩、2、169-196頁、1998年1月。
デジタルオブジェクト識別子:10.1016/S1569-2566(98)80016-1
キーワード:放射線の生物学的影響、乳頭がん、子どもたち
概要:放射線の生物学的影響に関する現在の情報に基づくと、被ばくした子どもたちにおいて乳頭がんが発生するという遺伝的事象とはつまるところ、発癌配列(すなわちret/PTC)に対するDNA損傷によるか、影響を受けた細胞のゲノムが原因不明のメカニズムによって不安定化して起こった末の事象といえる。チェルノブイリにおける放射線誘発性乳頭腫は特定の「署名」をもった遺伝的特徴、すなわち有病率の高いRET/ PTC再配列の特定の形態を持つことが現在では明らかとなっている。これによって、甲状腺細胞における放射線によって誘発されたDNA損傷に関する将来的研究の終着点の目途が立ったといえ、これらの腫瘍の成り立ちについてよりターゲットを絞った仮説を立てることが可能になったといえよう。甲状腺への被ばくは吸収された短命放射性ヨウ素による内部放射線に、より少ない程度に、ガンマ線の貫通に起因する。甲状腺がんの出現が記録されたのは被ばく後10年のことで、被爆した250名の間で34年間行われた注意深いモニタリングにおいて甲状腺乳頭がんが7例、濾胞性甲状腺がんが1例、潜在性甲状腺がんが7例報告された。
URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1569256698800161